13

あの日から早くも数日が立ち、俺の誕生日もあと三日と迫ってきていた。

俺はクラスに着くなり腕を枕に眠る姿勢になる。
ここ数日、異様な程に眠い。


正樹たちは誕生日パーティーの話し合いをしているらしい。
翠が俺らの教室へきて扉の近くで話し込んでいるのが見えた。

翠は生物以外、早々に買い込んで様々な料理にチャレンジしている。
この誕生日会ではある意味翠の料理の腕前を披露する場となっている。

詩葵は無頓着な俺の為に服の雑誌のカタログにこれを買おうと印をつけていた。
そして先日ネットで注文していたのを見た。
費用とその大量すぎる服に一分ほど言葉が出なかったのは言うまい。

正樹はまるで母の日のようにエプロンやら調理器具やらを買ってきてくれる。
実際の母の日にカーネーションを贈られた時にはありがとうと言う言葉と共に拳を叩きこんでおいた。


この世界では16歳は大きな意味を持つ。
それは元服の意も持つし、愛子という点でもだ。

どのみち興味が無いので普通に誕生日会を楽しもうとする。
否、楽しもうと思い込む。

ここ数日感じる視線。
悪意が籠っているような、何とも言えない視線だ。
あまりにも熱い視線に辟易する。

まぁ辟易するけれど視線だけだしどうでもいいやと興味などない。
もしかしなくても俺の気のせいだろうし実害などないのだから気にする方が損だ。
そう考えたら閉じた瞳と共に眠気が襲ってきて、頭に靄がかかり睡魔に身をゆだねた。



「最近透寝てばっかだよねー」

「眠いんだよ」

昼食時にふと正樹が話しかけてきた。
自分でも自覚しているので適当に返事をする。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ」

そんな会話にシアが心配そうに声をかけてくる。
心配をかけない様に正樹と話すときの何十倍も優しい声を心掛けて返事をする。
未だに心配そうな顔をするけど適当に笑ったら食事を再開した。

「でも、正樹じゃあるまいに授業中も寝てるってさぁ」

さり気無く・・・思いっきり悪口を言いながら声をかけてくる翠に

「夜眠れないわけじゃないんだろ?」

同室という事で俺の睡眠事情を知っている為不思議そうに声をかけてくる詩葵。
その言葉通りに別に眠れていないわけではない。
むしろ遅くに翠の部屋から詩葵が帰ってくる頃にはもう俺は寝ている。
まぁこいつらがいちゃいちゃし過ぎて帰ってくる時刻が0時を過ぎているというのもあるのだが。

とにかく、夜は普通に寝ている。
それなのにいつでもどこでもふと眠気が襲ってきていつの間にかねているのだ。

「あー、たぶんテスト頑張りすぎたからだろ」

その言葉に話題はテストについてとなりそっと息を吐く。
別に何も悪いことなどしてはいないのだが心配かけるのが嫌なのだ。

正樹の赤点について、笑いながら話す詩葵たちの会話に一度目を瞑り呼吸を整えてから入るのであった。

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