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面倒くさいなぁと思う。
けれども、いつの間にかテストは明日に迫っていて。
その間にシアや翠に勉強を教えてもらっていたので前よりは余裕はある。

シアとは仲良くなってお昼は毎回一緒に食べている。
他の奴らは面倒くさくないし煩くもないからよかったんじゃないと言われた。
俺もあいつらと同様に厄介なことは嫌いなのでよかったよと返事をしておいた。
しかし一部ではあんな奴がシアと一緒にいるなんてと敵視するような人たちもいて大変面倒なところだ。
せっかく仲良くなったのに今更バイバイと言える程俺も無情な人間ではない。

「・・・・・・・・まあ、ねるか」

どれだけ考えても答えの出ないものを考え続けるのは時間の無駄だ。
ならば明日に備えて寝たほうが身のためになるというものだ。

            *******

朝起きると昨日早く寝たからかいつもよりすっきりとした目覚めであった。
さて、弁当でも作るかと冷蔵庫の中身を確認して頭の中でメニューを幾つか考えて一番簡単に作れそうなのを選択。
そして弁当作りをはじめる。
もう手馴れたもので沸騰するまであと5分かなぁと、もう主婦のような感覚で野菜を切っていた。

「俺、翠迎えに行ってくる」

「おー」

ふいに聞こえてくる詩葵の声。
いつものパターンで、俺が弁当をそろそろ作り終わるって頃に起きて先に翠を迎えに行っててもらう。
詩葵を送り出すと数分してすぐに弁当も完成。
その後制服に着替えて適当に髪の毛を整えると荷物を用意していつもの時間であることを確認して食堂へと向かった。
いつもの席にみんなが揃っている。
ちなみに正樹は朝が弱い上朝食は食べ無い派らしいので不参加だ。
シアも朝は特別に部屋まで運んでもらって食べているといのでここにはいない。
そして夜はご主人様とやらと共に食べるらしいので夕食もいない。

「おはよう」

「よー」

あの二人がいないとこのバカップルをひとりで相手しなきゃいけないんだなぁとため息。
もう毎回のことではあったけれどシアが来て正樹と翠の騒がしいのを収めてくれたりと随分と楽になっていた。

先に来たふたりはもう食事をとってきたようで急いで俺も準備する。
ちなみに朝はブッフェだ。
パンやらスープやらをとって席に着くと頂きますの声で食べ始める。
この時間はピークを過ぎた時間帯なのであまり混んでいないのでいいものだ。

食べ終わると食器を片付けて教室へと向かう。
今日はテスト期間なので朝も一度教室へ入ったらトイレやら所用以外では出ていけないことになっている。
いつもは鐘が鳴ってから少しして慌てて入ってくる担任も椅子に座って何やら書類を書いているようだ。

詩葵は翠を教室まで送ると教室に戻ってきて、俺の席に来ようとしたのだろうが机の上の教科書を見て大人しく自分の席に座ったらしい。
正樹はまだ来ていなくてあと10分ぐらいでこなきゃいけないのに大丈夫であろうかと思うがとりあえず勉強。

数分すると正樹も来て話しかけられたけれど無視して参考書に目を通していた。
それに更に声をかけられるが周りも今日はテストだということであまり騒ぐ人もいなかったので正樹もすぐに静かになった。
後でちゃんと相手しておいてやらなきゃなぁと思いながら時間だと立ち上がる担任に目を向けた。

「お前ら出席確認するぞー」

その掛け声を合図にテスト独特の緊張感で教室は包まれた。
筆記用具以外ものを全て片付けて、幾つか注意されたら担任は教室から出て行った。
数分してテスト用紙を持った試験監督の先生が来て頑張るかと心に喝を自分でいれておいた。

そんなこんなを三日ほど繰り返してやっと終わるテスト。
その頃には俺の心もボロボロで。
たぶん赤点はないだろうと思っても勉強ばかりの毎日に疲れ果てていた。
その上テスト期間中で午前で帰れるのに正樹と翠の我儘でお昼は俺の弁当じゃなきゃ嫌だとのことだった。
美味しいと言われて嬉しくないわけでは勿論ないのだが面倒くさい、その一言に尽きるものだ。

テストが終わった次の日は土曜日お休み。
詩葵は言わずもがな翠のところに遊びに行っているし、正樹は今日は寝まくると宣言していた。
あいつらと――周りが無気力どーたらと言う奴ら――遊ぼうかと思ったがまず動きたくないことに気づく。
俺の面倒くさい病もここまで来ると異常なのかなぁと思うけれどもう何もしたくない。

一人でいるのは、多少寂しくも感じるけれどたまにはいいのかもしれない。
共同ソファーに座っていた、重い体に叱咤して腰をあげた。
向かう先は寝室。
自覚したら、急激に眠くなってきた。

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