感情が溢れすぎて、遂には涙を零しながら縋り付く。
こうすれば紅が俺の事を好きになってくれるというなら、いくらでも求めるだけだ。
みっともない。
けれど、もうどうしようもなくて胸倉を掴んでキスをしてみる。
慌てるかな、怒られるかな、好きって言ってくれるかな。
そっと紅の顔をのぞいてみる。
涙のせいで視界が歪んでいるけれど、
「顔赤くない?」
そう聞けば、溜息をつかれる。
これはダメだったかな、間違えてしまったかな。
好きだって言ってほしいのに。
これ以上はどうこの感情を伝えればいいんだろうか。
冷静になった頭と、抑えていた気持ちを開放したらスッキリした心。
明確なものは好きだ。
紅への想いを自覚し言葉にして伝えたら、他のことでのストレス解消にもなっているようだ。
久しぶりにモヤモヤが晴れて、兎に角好きになって貰うことが一番だと口を開く。
「ぅ、わ…ん、ちょ、…ん、んぅ」
「大人しくしろ」
重なり、侵入される。
若干パニックになって思わず押し返してしまったら不機嫌に言われた。
だって、なんか、抑えてた時と違う。
自覚後ってこんなに恥ずかしくなるんだろうか。
「…お前の方が顔赤い」
「?…あ、いや、だって!」
「好きだよ」
「本当に?」
「本当」
「だって、あんな目で見ていたくせに」
冷たい瞳だった。
憎んでいるのかと感じてしまうほどに。
「お前は俺を好きではないのに抱かれることを了承したから」
「え?」
「強請られれば誰にでも許すのかと、考えてしまった」
「それってその、初夜の時でしょ?紅だからだよ!?」
何故ビッチだと思われてるんだ。
そりゃああの頃は覚悟を決めただけで気持ちはなかったのかもしれない。
ただ今から思い返せばって話だけど、紅以外は考えられないのに。
「あの時は俺の事好きだと認めてなかっただろ」
「…ん、そだけど」
「触れられることが嬉しくて、でも、なぜか」
辛かったと、そう言った。
俺もずっとずっと不安で辛くて悲しくて。
でも今は幸せだ。
「でも、今は?俺の事好き?ねぇ、幸せ?」
「愛してるよ。…幸せだ」
その言葉で、俺の方が更に幸せになってしまうんだ。
馬鹿みたいに悩んで、正直今でさえ完全に信じ切れていないせいで、問い詰めるようになってしまう。
けれど、嗚呼、本当に、幸せだ。