それから二日後。
目の前の光景に驚きすぎて声が出ない。
というかちょっとしたデジャヴを感じるんだが気のせいか?
「愛子よ、久々だな」
「・・・黒羽さん?」
でも、ひとつだけ違うとすれば本物の黒羽さんということ。
前は紅が、って考えるのは止めよう。
「え!?クレメンスさんって黒羽さんと、」
「リカルド様が王にはなれないと決まったのですから、本物の方へ行くのが当然でしょう?」
「いや、まぁそうだけど。危険だとか言ってましたよね」
「互いの利害が一致したのでこうなったまでですよ」
「じゃあ・・・リカルドも連れてって」
「黒羽に聞いてごらん」
不安な気持ちを押し殺して訊ねてみる。
彼らは俺の味方だけど、元老院の人達だから。
「何故か?」
「黒幕はリカルドのお父さん。むしろリカルドは協力者だよ」
一緒にあの恐ろしい企みを止めようといった。
それを俺は信じているから。
「・・・時間がない。連れて来い」
「リカルド様には父親の部下がついている。撒けるのがいつになるか」
「お主にもいくらか人を寄越す」
リカルドも一緒に行っていいということ、だよね?
身体の中の酸素を全てだすぐらいの勢いで、息を吐く。
これでもう、周りが一致団結してリカルドのお父さんを倒すことが出来る。
だから全部が終わったなら。
リカルドとお友達になってクレメンスさんと料理を作って。
それから、紅と。