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暫くは大人しくしている。
そうリカルドと決めたことによって、不自由な軟禁生活がスタートした。

窓は小さく高く、外側から鍵をかけられれば中から開けることはできない。
正直、物凄いストレスだ。
唯一救いなのがテレビや本を置かれているということ。
そしてクレメンスさんやリカルドは自由にこの部屋を出入りできること。

今日とてお茶菓子と共に現れたリカルド。
伏し目がちに悪い、と言うリカルドの後ろには最近おなじみのお父様直属の部下達らしい。

どうやらリカルドのお父さんは、力を手に入れたことで反逆してくるかもしれないと疑心暗鬼中らしい。
表向きは再び黒羽さんや紅が襲ってきた時の護衛みたいだけど。

それでも暇すぎる俺にとっては、ちょっとした雑談するぐらいでも楽しくて仕方がないのだ。
更に言えば気を使ってくれてるのか、リカルドが持ってきてくれるお茶菓子のグレードが毎回上がっているのが嬉しい。

さて、そんな中だがここから逃げるすべが全くないというわけではない。
お父さんは詰めが甘いのか信じ切っているのか、クレメンスさんには監視を全くつけていない。
だから部屋の入口に兵がいつも立ってるとはいえ、たったの二人なのでやりようによればすきを狙って外へ出れると思う。

けれどなにもしないのは、やはり外へ出た後の事が心配だから。
逃げた後はクレメンスさんの隠れ家に潜もうとも、いずればれるだろうし。
紅のところへ戻ろうにも、リカルドを選んだと思い込んでいる神咲家が俺をあっさりと受け入れてくれるのか。

そしてどうやら、紅が自分は王ではなかったと言い元老院がどうしたものかと協議中らしく。
向こう側からすればリカルドが王となってしまったので、下手に出れないと考えているのだろう。

きっと、紅は助けに来ようと思っていないだろうし。
最後のあったあの瞳を俺は忘れはしない。

なんて、悲しい瞳をさせてしまったんだろう。
どれだけ紅を傷つけてしまったんだろう。

後悔ばっかり。
馬鹿みたい。

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