慌てて瞳から流れる雫を拭う。
だけどそれは止まらなくて、静かに静かに零れ続ける。
どうすれば泣き止んでくれる?
そもそもなんで泣いてるの?
「ねぇ、リカルド?大丈夫?」
呼びかけても反応はない。
だけどその涙も次第に止まっていって。
目の周りが薄らと色づいたリカルドは、乱暴に目元を擦る。
「よかった、泣き止んだ・・・どうし、」
「俺はお前が好きだよ」
「え、あ、りがとう?」
「だけどお前は俺を好きではないと言った。神咲紅も好きではないと言った。それが嘘なのも知っている」
リカルドは、俺の言葉を望んでいない。
そもそもその視界に俺はいるのか?
奥底に眠る本当が目覚めたかのように、その口は止まらない。
「お前はきっと、神咲紅が好きなんだろうな。俺を愛してはくれない。未来永劫。俺はお前が好きだから、悲しい」
悲しいんだ。
そう言ってまたパラパラと雫が零れ落ちていく。
言葉を、かけられない。
俺には彼に言うべき言葉が見当たらない。
紅と共に居ながら今まで力を与えていなかったのが決定的な証拠だろう?
俺が紅を好きなわけないんだよ。
好きでいるより、好きでいて貰うほうが心地いい。
なのに彼は俺を愛してくれないから、だから。
違う、こんな、嫉妬みたいじゃないか。
わけがわからない、そもそも俺はリカルドに力を、
「なぁ、気づいたか?俺に王の力が与えられていないこと」