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燃え滾る怒り、とでも言えばいいのだろうか。
身体全体でその激情を表しており、そのオーラに正直泣きそうだ。

そしてもう片方はなんともまぁ冷静な。
静かに佇む姿は凛としていて、少々混乱してた脳味噌をリセットしてくれた。

紅とリカルド。
対極な二人の様子に、なんと声をかければよいのか。
下手なことを言って戦闘が再開されるのは何としても避けねばならない。

馬鹿正直に選べませんとでも言えばいいのか。
・・・紅がもうちょっと落ち着いてくれたらなぁ。

ってことは紅を落ち着かせることから始めた方がいいな。
なんて、ことを時間をかけられないので脳の中で十秒で考えてました。
軽口叩かないと、本当に怖いもんだ。

「紅・・・話を、聞いてくれる?」

「その前に、教えろ」

「・・・?」

「連れ去られたのか、自分からここへ来たのか」

あ、いきなり地雷なやつ来ました。
思考が全然安定しないで、なんかふざけた感じになっちゃってる。
つまりは俺も混乱中。

なんと返せば良いのか。
と言っても自分からここへ来た、が正解なのだけど、今それを言って暴れないだろうか?
だけどリカルドもいるから嘘つけないし。
第一嘘つけば、その嘘を正当化するために更なる嘘をついて、なんて馬鹿みたいなループが出来て最終的に全部バレるってエンドしか想像できない。

「だから自分から来たと言ってるだろう」

だがしかし、なんて往生際悪く悩み続けていた俺の耳にリカルドの声。
そうだよね、それが本当だから仕方ないんだけど。
あ、紅の目がやばいです。

抑えきれぬ怒りが垣間見えて、恐ろしい、けれどこれが紅の本気だ。
慌てる俺に視線を向けた紅から目を反らせなくて、その唇が開くのを、ただ眺めていた。

「・・・本当、なんだな?」

「うん」

ゆっくりと首を縦にふる。
嘘など、つけない。

もう、何馬鹿なことばっか考えてたんだろ。
この二人は、こんなボロボロになってまで真剣に俺を取り合ってた。

やがて、どちらかの命が尽きるまで。

それを止めるために来たのだ。
お願いだから傷つけ合わないで。
真摯に訴えれば聞き入れてくれるのか、それともこの想いは届かぬのか。

説得をしよう。
何を話せばいいかとか、悩んでる暇がないのだから。

「あの、二人とも俺の話聞いてくれる?」

依然として鋭い視線を向けたままや紅は、案外あっさりと頷いてくれた。
だが、ここでリカルドはあっさりと頷いてくれる、こともなく。

「先に教えろ、何故俺のところに来たのか」

紅の瞳はさらにギラギラと輝いて。
リカルドの問いに早く答えろと、その瞳が叫ぶように訴えている。
対するリカルドも冷静なくせに、その瞳だけはギラギラとしていた。

「知りたかった、から」

真剣に話せばわかってくれると信じて。
この気持ちよ届けと、言葉に想いを乗せて。

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