花嫁の力については結局わからず終いとなった。
本当に花嫁にしかわからないとか言われたけど、愛子ある俺にもわかんない。
何か覚醒的なのがあるのかなぁ、なんて想像するだけ。
まぁ防御の力とかは使う必要がないだろうしいいや。
そうして元老院の成り立ちや歴史などを話してもらいながら、ふいに疑問を口にする。
「もしも俺がリカルドを選んだら?」
「花嫁に選ばれた王の候補は本物の王となります」
「でも元老院がうるさいんでしょ?」
「本物の王が成立さえすれば、候補達の資格は消えます」
「じゃあ、この血は他の候補にとっても毒になるってこと?」
「そうなりますね」
ってことは、先に選んだ者勝ちってことか。
選んでしまえば他の候補達は資格を失い、花嫁からの力は王となった者一身と向かう。
早い者勝ちと言ってもそれに対して元老院がなんかしてきそうな気がするのだけどそれはどうなのだろうか。
黒羽さん達みたいな戦闘のプロを沢山もってそうだし、暗殺とか本当にありそうで怖い。
そう疑問を口にすればあっさりと答えは返ってきた。
「王を殺す事は大罪ですし、王が死ぬと愛子も死にます。王と愛子が結ばれれば世界は安泰となり、人と吸血種の和平の証にもなりますから」
流行病など天災などの問題。
しかし、花嫁と王が結ばれた間にはそのようなことは起こらないらしい。
それは一種の奇跡みたいな話だけど、実際に記録としても残っているらしくてびっくりした。
「因みにですけど、力を与えられたら多分元老院の総戦力でかかってきても王は負けませんよ」
「え・・・強い」
「それ程の力を貴方は王に与えるのです。相手をきちんと見極めて選んで下さい」
さてはて、世界の命運やら吸血種の力関係やら、全ては俺が自由にできる。
なんて言われてもどう選べばいいのやら。
「・・・アレ、そう言えば俺紅と契約したけど?」
「それは、その、貴方が神咲紅を本当の王として認めていないからです」
結局契約だなんだは人々が勝手に作ったこと。
元老院が作った宝具はあくまでも俺の色香を抑えるだけのものらしいし。
俺が心の底から認めなければ、それは王とならない。
まっまく難儀なものだ。
リカルドと出会うまでに、初めて抱かれた日に覚悟は決めていた筈だった。
だけど心は迷い揺れ続け、逆にリカルドがでてきてくれてよかったのかもしれない。
「今度こそ、決める。だからそれまでここに置いてくれると、嬉しいです」
「気が済むまでここにいろ。それに、俺も何かしらアピールしたい」
「判断材料になっていいかもしれないです」
「リカルド様頑張って下さいね」
なんてクレメンスさんが茶々を入れてきながら、ようやく肩の力が抜けてきた。
冷え切った紅茶は味も匂いも落ちたけれど喉を潤してくれるならばもうなんでもいい。
俺は選択肢を持っている。
だから自分のためにも、候補である紅とリカルドのためにも心を定めよう。
ああ、どちらがより俺のこと愛してくれるんだろうか。