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今日、編入してきた吸血種の奴らの初登校日だったらしい。
妙に騒がしい、浮ついた学園内。
どこもかしこもうるさくて購買にでも行って耳栓でも買ってこようかと結構本気で思ったぐらいだ。

ちなみに今はクラスでそこらにいる奴らとだべっている。
普段は正樹達と過ごしているけれど、その次によく話している奴等だ。
てか、あいつらしか友達いないとかそんな悲しい人間じゃないから安心してくれよ。

正樹と翠は編入してきた4人について調べてるらしい。
必然的に翠にひっついている詩葵はその調査とやらに強制参加だ、頑張れ。

「それにしても…皆騒いでるなぁ」

「だなー」

「一体何が楽しいんだ」

「しらねー。何かが楽しいんだよ、うん。」

ちなみに上から二人が吸血種で下が俺ら人間。
なんていうかこいつらはこいつらで無気力同盟としてよくつるむ。
勿論無気力同盟だなんて正樹が面白半分に叫んだのをクラスのやつらそーだそーだと叫んで決まった。
というか何が無気力だ、余計なことをしないというだけだ。

「ったくよー、朝からよく騒いでるなぁ。てか同室者が早朝から騒いでるからさぁ…」

「うわ、災難だったな…」

だなんて話しているといつのまにか予鈴がなった。

「早く席着けー」

「うぉ、来た!!」

そう言って自分の席へと走る。
いつの間にか戻ってきたらしく詩葵も正樹も席に座っていた。

なんだか正樹は俺に物凄く伝えたそうなことがあるけれど担任がいる手前我慢しているようだ。

「えー、まぁ昨日の話だが今日から吸血種が来た。一年に一人、二年に二人、三年に一人だ」

そこでボリボリと頭を掻く。
教室にいる生徒全員を見渡してため息をつきながら言う。

「編入してきたばかりなんだ、あんま騒ぐなよ。ってわけでうちのクラスに一人入ってくる」

今更だが俺らは一年生だ。
そして今は二学期の半ばらへんである。
来週はテストなのにこんな時に来るなんて随分と災難だなぁと思う。

「じゃー、エレフォン入ってこい」

担任が扉に向かって声をかけるとドアノブを回す音が聞こえてその全貌が明らかになった。
構えていたやつらは息を呑む。
その美貌とやらに。
俺は朝話してた奴らに貰った耳栓を装備中。

一瞬の間を置いて教室を包むのは正しく暴力と呼べるほどの叫び声。
この野郎ども、俺の鼓膜が破れたらどうするんだ。
近くにいる同じく耳栓を嵌めた奴にアイコンタクトを送ると眉を寄せてため息をついた。
まったくもって俺も同じ気持ちなんだけどね。
そんな気持ちを込めて俺も同じポーズをする。

「あー!!お前ら煩い!!静かにしろ!!」

担任も吸血種でなかなかのイケメンなので隣に編入生が居るとなんていうか絵になるな。
というかちゃんと注意してくれてよかった。
大人の怒声に流石にビビったのかさっきとかわって静まり返る教室。

「あの…先生」

「あぁ、エレフォン…悪かったな」

「いえ」

「じゃあ自己紹介頼めるか?」

「はい。シア・エレフォンです。この学園の海外の姉妹校から来ました」

イケメンは声もかっこいいもんだと耳栓を取り外しながら思う。
流石に自己紹介を聞かないのは人としてあれだろ。

「えと、僕は二年に編入された神崎紅様の執事をしております」

緊張しているのかしどろもどろと話すところが可愛いな。

「あ、その…慣れるまでご迷惑をかけるかもしれませんがよろしくお願いします!」

最後はちょっと叫ぶように言う。
まぁ、とにかく変なのが入ってこなくてよかった。



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