Trick And Treat

朱音さんのお店に、学校帰りにそのまま向かう。
先日お邪魔させて貰った時に、お店でもハロウィンのイベント的なのをやるから人手が欲しいと言われて、可愛すぎる笑顔に負けて頷いてしまった。

「こんにっちはー!」

「昶君、今日はありがとうね」

「そんな・・・!!っ、小悪魔朱音さんまじ可愛い!!」

まさかの仮装をしている朱音さんに、すぐさまカメラを取り出してシャッターを切る。
だが、今回はあくまでお店のお手伝いとして来ているので、一枚撮って我慢。

「鞄はそこに置いて、エプロン用意しておくから手を洗ってきてね」

「はーい」

「そうそう、弘毅もすぐ来ると思うわ。ちなみに仮装させるから」

「っぶ、な・・・ナイスです!!」

やばい、東雲の仮装姿想像したらマジで鼻血出るかと思った。
なんだなんだ、やっぱ王道に吸血鬼か!?あえての囚人か!?色気たっぷりの悪魔か!?
俺はどれでも大好物ですってもう大人しくしよう・・・

兎も角、5時からオープンだそうから早くしなきゃいけない。
ランチの後は一回お店を閉めなきゃ、不良さん怖いって朱音さんが言ってた。
たまり場にでもされちゃうんだろうか?

手を洗ったり準備をしていると、扉が開く音がして、目の前にはイケメンが居た。

「やっほーイケメン!」

「昶か、早いな」

「俺偉い子だからお手伝い頑張ってくるー!」

「ん、ガンバレ」

うおおおおおおおおイケメンオーラぱねぇ、まじやべぇ。
え、なんなのマジで!?今の笑顔かっこよすぎだろ!!

「はぁ・・・はぁっ、しゃ、写真・・・」

「・・・キモイ。さっさと手伝ってこい」

「へーい。・・・朱音さーん、俺どうすればいいー?」

キッチンへ向かい朱音さんに訊ねると、既に料理の下ごしらえはほとんど終わっているらしいので、デザートの用意らしい。
カボチャプリンや、普通のケーキでもオレンジの果汁を使って着色してハロウィンカラーにしてみたりなど、女性らしい工夫で凄い可愛い。朱音さんが。

その後も料理の手伝いをしたり、店内を飾り付けている東雲のお手伝いをして漸く終わった頃には、開店時間になっていた。

「っはー、一時間ぐらい手伝っただけなのに疲れたー!」

「休むんなら裏行くぞ、ほら」

ソファーで死んでた俺の腕を掴み立たせると、そのまま腰に手を回すと言う紳士っぷりを発揮させた東雲のエスコートで小さな休憩室へと向かう。
朱音さんはそのままお店のことをしている。凄すぎる。

「客増えたら俺らも接客しろってさ」

「へーい。てか東雲・・・腰に巻くエプロン、えーと、あ!ギャルソン!するの?」

「あー、何となく意味は伝わった。でも俺仮装させられるからしないんじゃねーの?」

「ハッ!!そうだったそうだったああああ!!ああ、もうマジで滾る!!」

「・・・写真撮るか?」

「撮ります!!撮らせて下さあああああい!!」

「お、おぅ」

引かれてるけど気にしなーい気にしなーい。
そこで朱音さんが東雲用の仮装を持ってきてくれて、だけど慌てて出ていった。
時計を見ると5時を少し過ぎていたので、もしかしたら既に客が来たのかもしれない。

溜息を吐きながらも、朱音さんの言うとおり着替え始めた東雲。
どんな仮装かと期待しながら待っていると、吸血鬼の格好をした東雲。
基本は普通に黒いズボンにシャツなんだけど、黒いマントに付ける牙みたいなのを歯に装着して、口紅塗って、うわあああイケメン!!

「っ、やっぱ王道の吸血鬼・・・!!朱音さん、ありがとう!!」

「あーおい、Trick and treat」

「へ?あ、お菓子あるよ!朱音さんと作ったの」

「・・・お菓子だけで満足するかよ」

「っ、東雲!」

突然の流暢な英語に、そう言えばハーフだったと思い出し、やっぱくそイケメンじゃねーかと惚れ直し、慌ててお菓子を取り出そうとすれば腕を掴まれる。
そのもう片方の手で顎をそっと掴まれるとのしかかる様に顔を覗き込まれる。

「っぁ、イケメンのドアップはいろんな意味で辛いっ!!」

「んだよ、俺の顔嫌いか?」

「大好きに決まってんだろー!!」

「じゃあ・・・」

近づいてきた顔に、見惚れてしまい、瞬きを忘れたままずっと目を開いている。
そして唇が触れ合うって時に軌道が変わり、首筋に痛みがはしる。

「へ?っ、い、たぁ・・・」

「・・・驚いた?」

「お茶目なイケメンくそかわええええええええええ」

「お前、そろそろ喉死ぬんじゃね?」

「うん・・・喉痛い」

なんだか変な空気になったところで、朱音さんがそろそろお店に出て頂戴と呼びに来た。
それに慌てて、首筋を押さえながら休憩室から出ようとしたところで、後ろから東雲に肩を掴まれて引き留められる。

「もーなにー?・・・ぃ」

「・・・ほら、行くぞ」

いいいいま、今、さっき咬まれたところにちゅーされた、っ、うわあああ!!
もうマジでやばい、酷い、恥ずかしい。

でもやっぱり、魔法の言葉であれだよね。
イケメンだからって許されることは沢山あるんだ。

Trick And Treat
(たまには悪戯したっていいだろう?)



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