天の川を飛び越えて

『はい、東雲』

「し、しっののーめきゅーん、あーそびーましょー」

『・・・一体なんなんだ』

明らかに不機嫌そうな電話越しの声に思わず詰まってしまったけど気にしない!!

「あのねー、会いに来ちゃったって言ったらどうする?」

『っ!?はぁ?お前何してんだよ!!』

「今日は七夕、星空とイケメンとかもう俺得すぎるううううう!!!!」

『み、み元で叫ぶんじゃねぇよ!!』

そういった瞬間扉が開く。
電話を耳にあてて風呂上がりなのか髪が濡れた状態で無造作に頭を掻きながらですか、有難う御座います頂きます。

「・・・入れ」

「おっじゃましまーす!!」

あらやだ不機嫌度がさらに上がった気がするよどうしよう。
やっぱねーあんまりにも機嫌悪くさせるとこれから一緒についてきてくれないからねー、それだと困っちゃうの。

「あ、朱音さんこんばんわ。この前家の場所教えてくれてありがとうございました!!」

「それはいいけど・・・どうしたの?こんな夜に」

「家教えたの姉さんかよ」

はい一枚頂きー!!
もうこれはいいよまじでいい、美男美女ってなんでこんなに目の保養になっちゃうんだろうねー。

「って睨まないでぇ!怖いわダーリン」

「夜這いでもしにきたのかハニー?」

ちょちょ、腰にきましたよ今の!!やめてーイケボはやめてー!!
というかノッてくれるとかちょっと珍しい、指摘するとやめちゃうからやめとこう。

「今日はねー七夕でしょー?だから星とイケメンを撮ろうかと」

「なら昼にでも連絡入れろよ」

「サップラーイズ!!」

「・・・あーうん、そうゆう奴だったなハニー」

「そうなのダーリン」

ってわけでレッツゴー!!って言ったら着替えてくると部屋へ向かうのでその後ろをついていったんだけどダメだった・・・
いや、うん、これからも機会はまだあるからね!ネバーギブアップ!

やってきた東雲は七分丈のチノパンに黒いパーカーを羽織り、やっぱりイケメンだった。
そしてその手にはカーディガンを持っていて無言で渡された。

「どしたの?」

「今年はそこまで熱くない上に夜は少し冷えるだろ」

なにこの気遣いの出来るイケメンまじハイスペックすぎるだろもう惚れちゃうわ。

「さっすがダーリン愛してる!!」

「あーはいはい、さっさと行くぞ。あんまり遅くなるとあれだし」

朱音さんも本当は来てほしかったんだけど夜に女の人を連れまわすようなことはやっぱしたくないしね。
それにいくら朱音さんと東雲が姉弟で顔似てるからって東雲一筋だから俺!!浮気ダメ絶対ってあるでしょ?

外に出てどっちだ?と聞く東雲にちょっと遠いけど自転車ならそこまで時間はかからないと答える。

「バイクで行くか?」

「え?持ってるのバイク」

「親父のだけど好きに使ってる」

いやもうとりあえずバイクに軽く座る東雲を撮らせてもらいましたよ!!
ポーズ決めてって言ったら恥ずかしげにしてたのでそこも可愛すぎたどうしよういつか悶えすぎて心臓止まるかもしんない。


初めて乗ったけどこれ予想以上にいいわ、うん。
風が凄い気持ちいいというか、まあやっぱちょっぴち怖いからがっちりと腰に抱き付いてますけど何か?羨ましいかそうだろう!!

「あ、そこまっすぐいったら到着するよー!!」

そんな声をかけてるうちに目的の場所にもうついていた。
高台というか、住宅街から抜けたところにあるまだ自然が結構残ってるところだ。
ここから見える星は綺麗で、月蝕とか日食とかなんとか流星群がみえるって時にいつもきているお気に入りの場所の一つ。

「ここ連れてきたの東雲が初めて!!」

「・・・綺麗だなここ」

「でしょー!!だからそこに立って空を見上げてくれ!!」

そっと動いて首を動かす東雲を撮っていく。
緑の目と星がきらきらと反射してるみたいですっごい綺麗で、思わず見とれた。

「なんで俺をここに連れてきてくれたんだ?」

「東雲に俺の好きな場所を知ってほしかったのも半分、ここの綺麗な星とイケメンが撮りたかったのも半分ってとこかな」

織姫と彦星のお話を思い出すけど、やっぱ一年に一度しか会えないとかつらいよなぁ・・・俺絶対耐えらんない。

「ねー、東雲が彦星だったら耐えられる?織姫に会えない364日」

「我慢できるわけないだろ。天の川なんて、どうにかして会いに行く」

「かっこいーなぁ東雲は・・・ねぇ、俺が織姫だったらそうやって会いに来てくれる?」

「当たり前だろ」

そう言って空を見つめる東雲の横顔はやっぱりかっこよくて綺麗で、写真を撮ろうとしたけれどやめた。
撮ったら他の人に見せるためって意味合いも含まれちゃうからダメ。

今の東雲は、俺だけのものだから。


END


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