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薄暗い帰り道に二人きり―――
そんな中俺たちはどうでもいい?ことでひたすら口論をしていた

「先輩、もういいですって」

「え?」

何か俺のほうが変な雰囲気だがむしろ逆だ。

「先輩・・・荷物ぐらいもちますから」

さすがに、いくらこんな先輩であろうとも先輩なのだ。
意味わからなっかったかもしれないけれど理解してくれると嬉しい。

「いーって。部活で疲れてるだろ?」

「それはあなたも一緒じゃないですか・・・」

明らかにたくさんの荷物が入っていしょうなスポーツバック(実際にいろいろ沢山入っている)。
それを二つも持つなんて、しかも自分から持つなんて先輩は馬鹿だ。
俺よりも沢山動いて、ヘラヘラしてるけど部長としての仕事はきちんとこなしてる。
そして1年生への指導などして、今日は俺もお世話になった。

だから、まぁ嫌だけど疲れたから鞄持ってと言われれば口では嫌がるがきっと持ってあげただろう。
なのにどうして先輩が持っているんだろと先程から文句?を言っているのだが一向に返してくれる見込みはない。

小さくため息をつく。

「・・・じゃぁ、家までお願いします」

「うぬ、素直な方がいいな、時雨は。可愛くて」

最後にちょっといらぬ言葉を聞いた気がしたけれどまぁ気にしないでおこう。



さてさて、お姫様の住むお城もとい俺の家についた。
その場で荷物受け取ってバイバイだったのだが運悪く母親が出てきて夕食食べてきなさいになった。
イケメンだわとかきゃーきゃー言ってた。年を考えて欲しいものだな。
なんて心の中で辛いコメントを呟いていた。


「えーと、はい。汚いんですけど・・・」

「いやいや、俺の部屋足元が雑誌と洋服で埋まって床が見えないから凄く綺麗に見える」

思わぬ?お部屋事情を聞いてしまったが片付けろとしか言い様がない。
ちなみに今現在母親はスーパーへ買い物中だ。


「あ、時雨。ポッキーゲームしよー」

「は?どこにポッキーがあるんですか?」

家に着いたことで先日買った新刊の続きが気になって少々口が悪くなってしまった。
勿論ただの八つ当たりみたいなものなのでしまった・・・と思った。
それが顔に出ていたのかニヤニヤ顔のへんt、先輩。

「ここにあるのだー」

棒読みで、しかし音のリズムは某猫型ロボットみたいで実にシュールだった。
まぁそんなことは置いといて。
先輩のことだから強引に・・・あれ、この件さっき考えてなかったか?まぁ気にしない。
とにかく諦めがついたのでさっさと終わらせることにする。

「やるなら早くしてください」

「おー潔いねー。そんな時雨にはイチゴ味ー」

鞄から取り出したポッキーを変な交換音付きで左右に降る。
イラっときたのは気にしない。

袋を破いて一本取り出す。
先輩は持ち手?のイチゴがついてないとこを口に入れてんーって差し出してくる。
・・・・想像以上の恥ずかしさ。

しかし、いくら俺とも言え荷物持ちをさせてさっきも八つ当たり気味のことをしてしまったので大人しく顔を近づける。
近づくにつれて俺の視界に入る先輩の顔も大きく見えるわけで。イケメンのオーラがしてムカついた。

パクっと咥えると先輩は小さく笑った。
それを合図に少しずつポッキーを食べていく。
先輩の一口は大きめで、それともわざとか知らないけど、ポッキーの長さも半分ほどになった。
俺も食べ進めてはいるけれど、正直イチゴ味なんてわかんなかった。それぐらいパニックだということに気づいて欲しい。


そして遂に。
まぁ、終わりっていうか、うん。端っこから食べてけば当たり前なんだけどさ。
もうポッキーは指の一関節ぐらいしかなく、先輩の吐息が当たる。

「うぅ・・・」

わざとなのかそんな状況で食べるのをストップしている。
あぁなんて酷い先輩なのだろうか。仮にも自分で可愛いといった後輩をこんなに苛めるなんて。
小さく呻きながら、文句も込めて先輩を睨んだ。

あー・・・仕方ない。
このままの状況でずっとストップならさっさと終わらせたほうがいい。
そして

「・・・ん」

口を小さく開いてポッキーを噛むと、完全に先輩の唇と重なる。
そのままポッキーを奪って、もしくは折って俺の勝ちにしたかったのだが。

ニヤリと笑った先輩に、舌を入れられて呆気なくポッキーは奪われてしまった。


「・・・そろそろ母さん帰ってきますかね」

そう言った瞬間玄関のドアが開く音。

「バッドタイミングかなー?」

「いいえ、グッドタイミングですね。」

極めて冷静に保って言葉を返す。

なんて、ことをしてみたいんだけれどさ。


顔が異様に熱いなんて、本当に困った。
涼しい顔をしている先輩が恨めしい。


あぁ、暫くポッキーのパッケージすら見れなさそうだ。



Fin

2012/11/11





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