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追い詰められたふたりだけの空間。
相手は食べる側で俺は残念ながら食べられる側。
そんな、明らかに相手の得としかならない状況。

「せんぱーい」

「なーに?」

「冗談キツイですよ」

うん、もう押し倒されてます。残念なことに。
本当に見た目だけしかいいところがない先輩に溜息をつきたい。
とゆうか今現在のこの状況に今なら冗談抜きで涙を流せる気がしてきた。

最初に話していた時は先輩は寝っ転がっててそのすぐ隣で俺は体操座り。
不穏な気配に座ったまま後ずさっていたら足を掴まれてこの状態へと早変わりしたのだ。

「冗談じゃないもん」

「もんとか言わないでください、気持ち悪い」

「酷いなぁ・・・冗談じゃないんでーすよー」

「あーはいはい」

そうじゃなくてダメだ俺、しっかりしろ。
むしろ冗談じゃない方が好都合じゃないか、馬鹿だろ俺。

「やっぱさーキスはされるんじゃなくてするほうがイイよね」

「ソーデスネー・・・」

異常すぎるこの空間を切り裂いてくれるものは居るはずもない。
そして虚しくも小動物のようなか弱い犯行しかできないのだ。

「・・・あ、先輩!俺がいたずらする側ですよ!!」

そしてバカらしくも俺がする側であることを今更ながら思い出す。
まったく、この時ばかりは記憶力の悪さを恨んだのであった。

「はい、お菓子」

勢い込んで叫んだ言葉はあっさりと切り裂かれた。

「・・・・・」

今、けっこうもう大丈夫だ、さっすが俺☆とか考えてたのに・・・
押さえ込まれている手に握りこまされたのは某お菓子メーカーのチョコ。

「さてさて時雨くん。trick or treat.」

発音の良さがことさらにこちらをイラつかせる。

「っ・・・」

「お菓子をくれないと、イタズラしちゃうよ?」






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