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「先輩、とりっくおあとりーとです」

「あー・・・今日ハロウィンか・・・」

「お菓子ないんですか?」

それならば用はない、悪戯という名の普段の恨みを晴らしてしまおうと密かに決心。
第一お菓子が無い先輩なんて俺にとってゴミ以下だ。

「まー、あるっちゃあるけどさ」

「じゃあ早く下さい」

「そー言われてもなー」

イライラ。
顔には勿論出さない、声にも出さない。
なんかムカついて仕方ないからもう悪戯もどうでも良くなってきた。

「ないなら無いで大人しく悪戯されてください」

「んー、時雨にイタズラされるのかぁ・・・ちょっと面白そうだねぇ」

「先輩Mですか?」

「いやー?好きな子はいじめたいタイプでーす」

「Mかを聞いてるんですけど?」

「やっぱ好きな子はからかいたくなるもんだよねー」

相変わらず話を聞いていない先輩に溜息一つ。
もうなんでもいいから此処から去りたくって持参してきた匂いの強い太めの黒ペンのキャップを外す。

「先輩顔こっちに向けてください」

「えー?キスするのー?」

たまにはド肝を抜くぐらいしたいなーとか思って一瞬考えた後に笑う。

「そうですよ」

「へぇ?」

すると顔を近づけてこられる。
整った顔がいきなり近づいてきたから思わず後退る。

「ちょ、先輩っ・・・」

「え?キスするって言ったじゃん」

「冗談だってわかんないんですかっ!?」

思わず声を荒げるけれど勿論そんな声に反応してくれる人はいない。
だって、ここは屋上。立ち入り禁止の屋上なのだ。


昼休みに白木と昼食を食べていたらクラスで女子同士がハロウィンがどーのこーの話してた。
その話に白木も参加してあーたらこーたら話していたから屋上へと先輩に貰った合鍵を手に向かったのだ。

そして、屋上へ着くと相も変わらず顔だけは良い先輩が先客として寝ていた。
髪の毛が風に揺られている姿をぼーっと眺めていたら先輩が起きてきた。
だから先程のクラスでのやりとりをまだ覚えていたので先輩に実践してみたのだ。





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