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嵐のような、強烈な存在感を持ったその人は言った。

『セフレなんてよくない』

それがストンと心に落ちてきて。
よくない、そうだねセフレなんてだめだよね。

今迄踏み出せなかったけれど、正しくないことだけはわかっていたから。
もう終わりにしようと決意して。

泣いた。



この学園で生徒会役員をやっている細貝理(ほそがい おさむ)。
会計という役職に就いているため理数系に強く、感情論などのものが苦手であった。

しかし恋に落ちた。
嫌だと思いながらも、正しく突き落とされた。

何故俺がこんな感情を抱かねばいけないんだ。
どう考えてもおかしいだろう。
性格は良くないし粗暴だし、適当でふざけた人間なのに。

考えても無駄なことだとわかってはいても、考えるしかないのだ。
それだけしかこの気持ちの答えを探す手段がなかった。

考えれば考える程答えは絞られていって。
最終的に見つかったものは恋と言うもので、難問を解いた後みたいにスッキリした。
そして底なし沼みたいに、一度落ちて仕舞えば後はもう沈んでいくだけで。

それでも公私が分けられぬ程の馬鹿ではないので生徒会室や会議室では普通に接することができた。
けれどそれとは関係のない場所ではダメだった。

会長の事を見つめすぎてしまう。

当然それは会長もわかってしまって。
なんだよって言うけれど、なんでもないって返事しか出来ない。
まぁ会長は納得してないみたいで、唐突に唸り始める。

それはただのからかいや冗談だったのだろう。
前にふざけて教育実習生や風紀委員にしていたから、俺もわかっていた筈だった。

キスをされた。

馬鹿だ。
彼は呆然とする俺を、悪戯っ子のような瞳でみていた。

けれど俺は惚けてしまっていた。
そうしたら、彼は。

『ヤろうぜ』

なんて言葉を軽々しく吐いたのだ。
普段なら馬鹿かって頭でも叩いてやって、それで終わる。

筈だったのに。
脳が命令を出したのか無意識に返事をしようとした、けれど声が出なかった。
しかし身体が言うことを聞かずに、気づけば首を縦に振っていた。

それからは、もう。
初めて踏み入れた彼の部屋は少しだけ散らかっていて、でもそんなことはもうでもよくて。

押し倒された。
服を脱がされた。

そして、そしてそれから。

突っ込まれるなんて経験初めてだから。
圧迫感、違和感、痛くて、苦しいばかりで。

快感なんて微塵も感じないくせに、溢れんばかりの幸福感で身を包まれた。
こんなので幸せになっちゃうんだ。
そんな感想しか思い浮かぶことが出来なかった。

一回目が終わって脱力しかけていた会長は舌打ちをした。
それは痛む身体に鞭打って、下手くそなりに締め付けてやったから。

中のモノが硬くなっていくのは身をもって感じている。
痛む身体を無視して、その幸福感が一秒でも長く続くように、しがみついてその唇を乞い続けた。

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