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予想通りに6歳になるまで何もなかった。
あまりにも暇すぎるが6年も経てば白髪の両親とも仲が良くなり町に馴染んでいったことは良いことだろう。

まぁそもそも白髪の伝承など俺ら一族や王族、一部官僚しか知らない。
何故かと言えば余計な情報は要らないからだ。

白髪が生まれると国の滅亡や天災などが起こるのだ。
多くの不幸を連れて生まれてくると民が知ったら混乱を招くし、殺されてしまう可能性も出てくる。

最初に白髪を殺したのは当時の監視者らしいけれど。
そこで地獄のような災厄が降りかかり殺すのもダメだと学んだそうだ。

だが俺が記録などを見たところ、きっと自業自得なのだ。
それなのに、生贄を捧げなければいけないなんて。

天災に関しては何も言えないが、王族の圧政により民が苦しんでいた時代には必ず白髪が生まれ、国は滅ぶ。
つまり世界が平和に保たれるために白髪は生まれてくるのだ。

それを王族はこの世の全てに疎まれる子だと言った。
きっと、この国も滅ぶのだろうなと思った。

カモフラージュの為に装飾具の職人だと言ったけれど、暇つぶしの為に本当に作ってみたら案外楽しくて。
今では本当に売り物になるほどだ。
都市部の職人たちとは比べ物にならないほど下手だろうが、ここらの奥様方には気に入られた。

彼を見続けたこの10年で、俺も変わったなぁとしみじみ思う。
お向かいさんであり一人暮らしの若者ということで、優しい白髪の両親はよく食事に招いてくれた。

白髪とも仲良くなった。
生まれた時から見続けているからか変な感情も生まれた。
小さく可愛らしいのは今でもだが、最近はやんちゃになってきた。
そうして、髪色も少しずつくすんでいった。

生まれてから、死ぬまで。
彼が死ぬその時を見届けねばいけない。
耐えられるのだろうか、俺は。

代々短命な一族。
白髪の監視を実際に行った者は特に短命だったらしい。
中には白髪の死後一週間で死んだ者もいたらしい。

きっと、耐えらないんだろうな。

「兄ちゃん!きょう学校でさー」

「…うん、どうしたんだ」

ついつい感傷的になってしまうのは、予想通りに王族が暗殺され王国が共和国になったからだろうか。

返事が遅くなってしまったけれど、白髪は気にせず話し続けた。
小さい頃は特異な見た目で虐められたこともあったが今は大丈夫そうだ。


世界では干ばつに悩むある国に嵐が吹き荒れていた。
幾ばくの家や家畜の命が奪われてしまったが水を得たことにより救われる人も多かったそうな。

世界は平和に向かうために動いている。

彼の命は、あと3年なのに。
濃いグレーとなったその髪が風に靡くのを見つめるしかできない。

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