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休んで家で寝ていた俺に届いたのは、彼からのメール。
何故アドレスを知っているのかと慌てることはなく、その内容を口を開いたまま見る。
それは、端的に言えば脅しだ。

どちらにせよこんなこと誰にも言えない、と思っていた。
彼はこれからもあの陵辱を強要してくるのだ。

いっそ誰かに言いつけてやろうか。
俺も軽蔑されるのかもしれないけど、それより彼に強要されるのが恐ろしい。
当然、そんなこと出来るはずがないのだけど。

昨日出し尽くした涙が、再び視界を埋め尽くし、ポロポロと零れ落ちる。
止めどなく零れるそれが布団までも濡らしていきながら気を失う様に再び眠った。


それから。
俺はいつ強要されるかわからない恐怖のまま高校二年生を終えた。

彼は写真などを使って脅すことはない。
いつも唐突なのだ。
連絡手段を持っているくせにいきなり空き教室に連れ込まれたり、下校中に捕まって行為を強要してきた。

そうして心身ともに彼に屈し始めていところで三年生となった。
そこで何故だかわからないが彼が優しくなった。

学校ではクラスが違っていたので関わることはない。
空き教室に連れ込まれることは無くなったので、学校での接触がゼロとなった。
そして携帯を使っての呼び出しとなった。

前日だったり、昼休みだったり、少しだけでも事前に知らせてくれる為に覚悟を決めることができて、少しだけ心が軽くなる。

何かの作戦なのかな。
飴と鞭ってやつなのかな。
じゃあいつか鞭がくるのかな。
そんなことを考えてしまって、いつまでも恐怖だけは残ってて。

とは言っても彼はまるで恋人に接するかのように優しくしてくれたから、少しずつだけど気を許してしまって。
こんなんじゃいつか変貌してしまった時のダメージが計り知れない。
彼が、もう俺に優しくしてくれなくなる。

それを思うと少しだけ悲しかった。
嫌だと思う気持ちや恐怖の方が大きかったものの、悲しいと少しでも思ったのが不思議だった。

最初が最悪過ぎたからか、こんなに優しくされたら何か特別な意味があるのかって考えちゃって。
単純に罪悪感で優しくしてくれるんだろう、と思っていたのがいつしか俺のことを、なんて思ってしまって。

ギャップに落ちるってやつなのかな。
震える身体とは別に、惹かれる心があった。

そんな時に抱きしめられて愛を囁かれれば、簡単に頷いてしまった。

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