2

もうあれから、2年が過ぎようとしているのか。
今でも時々思い出してしまうそれが、ふいに心を縛り付けるのだ。
そう、今でも、どうしようもなく恐ろしくて堪らない。



うちの学校のバドミントン部は弱小で、高校から始めるには最適だった。
勝てたら嬉しいね、なんていうクラブ活動みたいなところで下手くそでもまあそんなもんだ、って皆笑ってるような部活。
それでも大体夜の7時ぐらいまではきちんと練習をしている。

その日は部活が終わった後みんなでファミレスにでも行くことになっていた。
だけど部活終わりに母さんから今日は小学生の妹の誕生日だから早く帰ってくるように、とメールがあり泣く泣く一人で帰ることになったのだ。

なんというか、やっぱり小学生の妹は可愛いもので。
誕生日プレゼントを買って帰るから少しだけ遅れると返信をして、部室から出る。
そして中でグダグダやってる部活仲間に別れを告げた。

プレゼントは何を買おうかな、なんて考えた。

その、直後。

後頭部の痛み、振動、眩む視界、崩れる身体、追撃の鳩尾への蹴り。
反撃を許さない圧倒的な力に強張り、その力によって身体中が痛くてただただその場に這いつくばっていた。

そんな俺を担ぎ上げ、校舎へと入っていく謎の男。
この時間は守衛さんが施錠の為に動き回ってる時間で、助けがくると思ったのだ。

だけど、

どこかの教室へ連れ込まれ、教卓の陰に身体を押し込められる。
その間は首を軽くだが絞められたままで。
恐怖で声も出せないまま、数分後に守衛さんは通り過ぎていった。

懐中電灯を使い、教室をしっかりと覗き込んではいたけれど教卓に隠れているし制服は学ランだったので闇と同化していたのだろう。
気付いて、くれなかった。

そして陵辱が始まる。

下肢の衣服だけを剥ぎ取られて、潤滑剤を使われて拡げられたソコ。
身体中が痛いし、そして排泄機関を弄くられる屈辱や異物感。

解されたと言っても、簡単なもので。
そのまま質量を持った灼熱が押し入ってきて、当然として縁は切れる。
更なる痛みが襲い掛かってきて、ただただ泣き叫ぶだけだった。

終わった後、悔しくて瞑っていた瞳を恐る恐る開けると、月明かりに照らされた整った横顔が見えた。
それは一年生の時に同じクラスだった不良の男だった。
関わりなんかないし、最低限しか授業を受けに来なかったので同じクラスだったと知りもしないのではないか。

そんな相手に陵辱され、何故だと働かない頭で見つめる。
彼はその整った顔を歪に笑い、去っていった。

泣きながら処理をした。
正しいやり方なんてわかるはずもないから、中に出された白濁の液と自分の血液を簡単に拭き取るだけ。

顔を洗って、帰り道笑う練習をした。
駅前の雑貨屋さんでマグカップと髪飾りを買って帰った。

遅い!と拗ねる妹にプレゼントを渡す。
母さんは何かを感じ取ったようだけど、俺が普段通りを努めていると何も言わないでくれた。

やがてケーキを買ってきた父さんを含めて楽しい誕生日パーティ。

終われば、もう。

気を紛らわせてくれるものは無くて。

呆然と泣き続けた俺は、次の日見事に熱を出した。

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