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昨日は放課後の見回りの日ではなかったので書類を片したからあんな風にまだ日が出ている間に昼寝出来た。
しかし、今日は気張って見回りの日だ。

夏休み明けで浮かれた連中がまだいるので、昨日も数人を捕縛したとの連絡があり、憤慨したのはいうまでもない。
昨日は不良同士の喧嘩、ではなく一般人のリンチであった。
そのことが更に怒りを増長させたのだが。

心地良い風が吹く中、今日こそは何事も無いことを祈りながら歩みを続ける。

不良やら一部の同性愛者が変なことをしているけれど、例え恋愛対象が男であろうとも生徒たちは普通に青春し、日々の生活を謳歌している。
本来それが当たり前で、むしろこんなことをしなければならない方が異常だ。

溜息を吐き、一度立ち止まった理人の横を人が通る。
脱色したであろう色素の抜けた髪の毛、原型は保っているもののアレンジの加えられた制服。

思わず、彼の存在に思わず眉をしかめた。
今年入学した、同学年の奴だ。
派手な噂が凄く、この学園では一度も喧嘩しているのをみたことはないが、外では結構暴れているらしいのだ。

そんな彼は理人に気付かずに通り過ぎていく。
やがて姿は見えなくなり、理人もそのまま歩みを再開した。



喜ばしいことに今日はなんの問題も起こることなく見回りが終了した。
まぁ俺達が見回りをしているとはいえ、所詮は生徒。
警備員が本格的な見回り、監視カメラでのチェックをしてくれているので放課後の見回りはすぐ終わってしまう。
見回り後は風紀室へと一回立ち寄らなければいけないのでそちらへと向かった。

その途中で、ふいに呼び止められる。
どうやらそうゆうことらしく、近くの空き教室へと共に入る。

一回見たことがあるので、前に強姦されかけていたのを助けてやった者だろう。
見目が平凡なので大概強姦や暴行から助けてやった相手や風紀での相談を受けた相手からである。
その時の効果なのか知らないが、とてもかっこよく見えるのだろうか。

「好きです!」

覚悟を決めたのだろう、真っ赤な顔だけれどもこちらを一心に見つめる瞳。
飾らないその一言に彼の本気を感じて、背筋を伸ばす。
真剣に話す彼に真摯に対応しなければ失礼だ。

「悪い、無理だ」

言葉と同時に軽く頭を下げると、彼は涙ぐんだ瞳でこちらを見ていたが、やがて何も言わずに去っていった。
応えられないのはやはり、つらい。
しかし好きでもない者と遊びで付き合うほど失礼なことはないだろう。
なのでここはもう仕方がないと割り切るしかない。

まだ数回しか告白されたことが無いとはいえ、胸に圧し掛かる痛みは彼らの本気の想いの置き土産だ。
応えられないのだから、これぐらいは仕方がない。

そうして、また小さな痛みを抱えながら今度こそはと風紀室へ向かう。
そうして歩き始めた、あと一階上るだけで風紀室へ着くという時にまた呼び止められた。

「藤下さーん」

「あ?どうした?」

なぜかニヤニヤしている男に不快感を覚えながらも振り返る。

「付き合ってー」

「断る。お前ぐらいで手に負えると思ってるのかよ?」

そう言えば相手の頬に赤みがさし、舌打ちすると走ってさっていった。
数回告白されたとは言え、こういうのはノーカウントだ。
こんな奴らと真剣な彼らを一緒にするのは失礼だしな。

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