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眠い。

大きな欠伸を一つ。
ベッドの温もりから出るのが辛くて堪らない。

それでも学生としての本文を尽くすために泣く泣く着替えを始める。
すっかりと冷え始めた朝は余計に起きる気をなくさせるものだ。

食事より睡眠という性分のため朝は基本時間があれば食べる程度だ。
今日は思ったより早く起きれたので食堂で朝食をとろう。

寒さで完全に起きたのでさっと着替えて食堂へ向かえば、遠くに見えるのは木更津とその友人たち。
木更津含め案外問題に上がってこないのが不思議なものだ。
ああ、木更津のように周りが恐れ負けを恥じて隠しているのだろうな。

彼らが居る周りは不自然に人気が少ない。
当然一般生徒は怖いだろう。
不用意に近づくものなんているはずもない。

俺とてただ朝食をとっているだけなら用もないし近づきたくない。
一瞬視線があってしまったことを後悔し、その後覗けばこちらに意識を一切向けていない上に知らない顔。

演技派だな。
俺のことなど好きでないくせに平然とキスをする。
体に触れてくることもあったし、軟派な男だ。

そんな余裕があるわけではないのでさっと朝食を済ませ教室へ向かう。
木更津が授業に遅れ様が食堂のスタッフさん達に迷惑がかからなければそれでいい。
むしろ留年してほしいぐらいだ。

「おはよ」

「ああ、はよ」

「眠そうだなぁ」

「風紀のほうが、な」

「………被害出たんだって?」

「ん。やっぱ情報出てるか」

近くの席の奴に声をかけられて、雑談する。
昨日は放課後といえど部活動などで校内に人がまだまだ多かったし。
風紀が忙しなく動き教員まで出てきたとなればある程度想像がついてしまう。

無知なままも罪ではあるが、多くの人間に被害の事を知られているとなれば余計元に戻るのが辛くなるだろう。
そっとしてくれるのが一番だが下世話な奴らも居るし、無自覚に傷を抉る場合さえあるのが厄介な処だ。

自分の知らないところで傷つけ、傷つけられている。
復帰の環境づくりについても考えねばならないことに気づかされた。

昼休みも委員内での話し合いと書類に時間を使い、放課後は教員会議にも風紀代表として出席することになっている。
今すべきは勉強であるのだが、どうしようもない眠気に負けてしまいそうだ。

なんとか耐えてノートに文字を書き込む。
お世辞にも綺麗とは言えない羅列で埋め尽くされ、機械のような記録係と成り果てるしか意識を保つのが難しかった。

こんなにも忙しいのに文化祭やその後試験もあるだなんて、今だけは見て見ぬふり。
とは言っても未来の自分の為に一生懸命授業を受けているけれど、こんなノートを見た未来の俺は絶対文句を言うんだろうな。

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