4

「最近疲れてるな」

大丈夫かと同学年の委員に声をかけられ、小さく溜息を吐く。
正直いって、疲れている。
主にあの不良のせいで。

「少しだけ、な。でも大丈夫だから安心しろよ」

なんかあっても俺が対処するから。
そう言えば笑ってならいいと言われた。

風紀委員は体が資本なところもあるし、心配をかけて申し訳ない。
何かあったときに使えない人間ではいられないし。

今日は風紀室で待機組なので、書類仕事が面倒だけど空調も効いているし楽だ。
いやでも見回り中のちょっとした昼寝はいいものだ。
ちょっと眠くなってきた。

『裏庭にて強姦発生!!!』

「っ、行くぞ!」

平和な空気を妨げる声は唐突に。
瞬時に覚めた眠気を振り払い、たち上がる。
続けざまに聞こえる声は数が多いとのことなので兎に角人を向かわせることにした。

「先に行く!被害者のケア用品持って来い!」

「はい!」

後輩の返事を聞いてすぐさま現場へ向かうことにする。
クソ共の対処もそうだが、一番は被害者を安全な場所に避難させきちんとアフターケアすることだ。
保健室に心理カウンセラーの先生が居るからそこにも連絡をしなければいけない。

走りながらで聞き取りづらかっただろうが、強姦だと聞くとすぐに準備に取り掛かるとのことなので、俺はクソ共をぶっ潰すことに専念しよう。

現場に着けばとりあえず近くに居たクソを羽交い絞めにする。
暴れるので一発腹にいれ腕を縛り、仲間に引き渡す作業。
それを数回繰り返していると被害者確保組に呼ばれそちらへ向かうことに。
不良共はもう殆ど縛られてるし大丈夫だろう。

「副委員長!」

「…どうだ?」

被害者の安全確保に尽力してくれた委員にそっと近づく。
コイツは若干強面の為、被害者は小柄で優しそうな顔の委員に任せその周囲を警護していた。

「…数発殴られたのか腹部や頭部に痣が。他には擦り傷も見受けられました。それから、」

「いい。…どこまでだ」

「臀部にも、血が」

それはきっと、きっと。
最後までされている可能性がとても高いということ。
言葉にするのも悍ましい。

報告するのだけでも、言葉にするだけでもこんなにも苦しい。
強面が更に凶暴化する程に悔し気に目に力を入れていた。

報告してくれた委員の頭を撫で、お疲れと口にする。
小さく頷いてくれたので、現場の指揮を執りにいくことにした。

「生活指導の教師にクソを引き取ってもらえ。近藤はついてけ。報告書を纏めてもらいたい」

「おう」

「俺らはこの場の後片付けだな。多分監視カメラの死角になってる。調べるぞ」

各々の役割に従って動き始める。
被害者は無事とは言えないが保健室に連れて行ったし、治療に専念してもらいたい。
事情聴取もそうだし、暫くの監視も必要だ。

今後については委員長にも話を通して、処分は教師達ときちんと話し合わねばならない。
別件で委員長は居なかったので、話し合いは俺がメインになる。

気張らねば。

対策が必要だ。
二度と起こしてはいけない。

頭に感じる痛みなど、今は気にする時ではないのだ。

[ 33/35 ]

[前へ 目次 次へ]
しおり

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -