最近木更津からの接触が多い。
それに気づいたのは口内に舌を入れられた時だった。
軽い唇同士を触れ合わせるキスならば、悲しいことにもうなれた。
しかし先日のように身体に触れられたり深いキスだなんて以ての外だ。
何故男にこんなことをしたがるのか理解不能だ。
「…お前、遊びのくせによくできるな」
「そう?見た目さえ良かったら誰でも」
「クズ」
「嫉妬すんなよ」
笑いながら頭を撫でられる。
乱暴な手つきのせいで髪の毛がぐしゃぐしゃだ。
それより嫉妬とか変なこと言ってる方を先に否定しとかねばならない。
遊びだと否定しないので、再度不良の糞なゲームだと理解する。
そんなのに巻き込まれただなんて迷惑すぎてもう疲れた。
「ったく、触んなボケ」
「照れんな」
照れてない。
また否定しようとしたけれど、それより先に口づけられて固い地面に押し付けられる。
勢いあまって頭ぶつけたんだけど、本当にどうしてやろうか。
肩を押し付けられたまま深い口づけをされて。
まぁその、こういったのは初めてなためどうすべきなのだろうか。
今までキス程度は諦めていたけれど、流石に止めるべきだとは思う。
そもそもキスを簡単に許してしまったからこんな事態に陥っているのか。
木更津の舌が口内で動き回ると少しだけゾクッとする感覚を気持ち悪いと思うのだけど、何かを見ないふりにしている気がしなくもない。
「ん、ふぅ…ぉい!」
「ああわりぃ、深呼吸、な?」
上手く酸素が吸えなかったせいで視界がぼやけていた。
若干涙目になっていたところで解放され、深く酸素を取り込んでいる間戯れに目元や頬にキスをされる。
本当の恋人でもないのにこんなことが出来るとは末恐ろしい。
将来ホストにでもなるのだろうか?
「っ、やめろ」
「可愛かったのに」
「うるせぇ」
「はいはい、じゃあ俺帰る」
「さっさと行け」
「あ、今度遊びに行くわ」
「…?」
「お前の部屋。一人なんだろ?」
「くんな」
ぜってぇ入らせない。
もし来たならば速攻反省文にしてやる。