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「最近少し冷えてきたね」

「そうだな」

「もっと力込めて返事しろよ」

適当な会話に、適当に返す。
そんなの当然だろうと思うが奴は気に入らないらしい。
仕方ないのでその後はダラダラとだけど会話を続けていく。

「あ、そういや文化祭の準備とか始まるか」

「ったりーやつか」

「サボるなよ」

唐突に思い出したものを取りあえず口にする。
11月にあるのは珍しいのだろうが、こうした都市部から離れたところにある学校だと、開催日が被ると絶対に来てくれないのでずらすしかないのだ。
以前そういったことを顧問から聞いたような気がする。

「もう委員とか決めてる筈だけど?」

「知らね」

「……参加しないと、また罰則があるかもしれないぞ」

「デートしてくれんならやってもいいよ」

「俺にメリットは…」

「後に起こる問題の回避?」

「…何時だ」

そう言われればやるしかないだろう。
正直俺と出かけたって何も面白くないと思う。
前回も散々だったし。

というか今日だって会いたくはなかったのに。
土曜登校は午前だけだし風紀の集まりはないし見回りの当番でもない。
なので飯食った後は適当に菓子とか買って屋上でダラダラするのだ。

屋上に来るのは控えようとは思っているのだけど、やっぱりここは心地いい。
木更津さえいなければの話だけど。
どちらにせよそろそろ風が冷たくなってくるので空き教室を見つけねば。

「また連絡する」

そう言うと胸倉を掴んで強引に口づけをしてくる。
ああ、まだ膝枕してやってたんだと呆けたまま思い出す。
勢い在りすぎて首がポキッと鳴ったのに気づいたのだろうか?

「ってぇ」

「かーわいい」

「…?」

「首傾げるの癖かよ」

笑いながらそう言われる。
イラッとするけど、実際癖だ。
妹と遊んでやってたら移ってしまったのだ。

急に視線が合ったり、考え込むときに自然となってしまう。
あまり外でなったこともないし、特別気にされたこともないので良いことにしていた。

どうでもいいこと言いやがってとまた少しだけ苛立ってしまう。
だが気にしたら負けだと息を吐いてやりすごす。

すると今度は奴が上体を起こしてキスをしてきた。
こんな気遣いはいらない。

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