12

食事中は互いに無言で、俺は若干の気まずさを感じながらも話したいこともなかったので静かなものとなった。
その後食後のコーヒーが運ばれて落ち着いた気持ちになる。
そんなままようやく口を開いてみた。

「これからどうするつもりだ?」

「んー、特に考えてないや。どっか行きたいとこある?」

「俺も特に無い」

「じゃあ服とか見に行こ」

その言葉に頷いてコーヒーを一気に飲み干して立ち上がる。
会計は何故か奢りたがる木更津を無視して自分の分はきちんと払った。

不満げながらも、木更津はいつも買っているというブランドの店へ連れて行ってくれた。
そういや今日の服も雰囲気にぴったりで嫌味なぐらい決まっているなと改めて思った。

「新作見たくてさ」

「俺も勝手に見てるから行ってこい」

店に着くなり別行動を選ぶ。
私服ならば好きにして良い。
興味もない。

それは別として木更津の私服は割と派手な感じだが、この店にはシンプルなものもあるらしく、そちらへ向かう。
そこに麻を使ったシャツがあり、手触りの良さからすぐに買うことを決めた。

最近服は買っていなかったのでたまにはいいだろう。
それとこのブランドが気に入ったので今度は一人で来ようと決めながら。

他にも気に入ったものがあり、すぐに会計へ向かう。
新しい発見が見えて案外楽しいな、とか少し思ってしまったのが若干癪ではあるが、満足なので何も言うまい。

「まだ選んでるのか?」

「あ、藤下さんなんか買ったの?」

「シャツ」

「そーなんだ。ねぇ、これどっちが俺に似合うと思う?」

どうやらピアスを見ていたようで、木更津が持っていた2つとは別のものがふと視界に入ってきた
シルバーのリング状のもので、リングは小さいが幅のあるもので真ん中らへんに紺青の太い線が入っていた。
その他にも装飾が施されており、上手く説明できないけど、とにかくこいつにはこれが似合うと思った。

「コレ」

「え、どっちかで選んでって」

「お前にはコレが似合う」

「・・・ん、わかった」

「というかお前穴開いてないだろう」

「今度開けてよ」

木更津は持っていたものを元に戻して俺が選んだものを取った。
穴開けるの痛いかなーとかいろいろ言ってたけど知らん。

その後服も見だした木更津に付き合う時間は、案外悪くないもので。
何故か途中で俺の服を選び出した奴の頭を軽く叩いてやった。
もう買ったと言っただろう。

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