「俺を改心させたいって?」
「そうだ。何でそんな見た目してるんだ」
「友達に勧められたから」
「なんで喧嘩するんだ」
「喧嘩は向こうからふっかけられるの」
解決策、誰かくれ。
スポーツ大会が終わるれば生徒の誘導、お偉いさんのお見送りを生徒会と共にこなし、一息つく間もなく違反者達の始末へ。
風紀の奴らがきちんと報告書を作ってくれたので、俺は委員長や生活指導の先生と共に罰則など適切な処理をするために奔走する。
誰か、誰か褒めてくれてもよくないだろうか?
ああ兄貴に存分に甘やかしてもらいたい。
だが一つ言っておく、俺はブラコンではない。
そしてくたくたになりながら寮部屋へ帰り着く。
食堂で食べる気力もある筈がないので、購買で適当に買ってきた。
ようやく寛げる、と完全に気力がオフになると共に、電話がかかってきたのであった。
さて、そこで話は冒頭へ戻る。
面倒ながらも昼間の賭けとやらが気になる。
そこまで馬鹿なことはしないだろうけど、あまりにも未知数な男である。
というわけで数秒の葛藤があってから電話に出たとよくわからない言い訳をここに記しておこうか。
まぁ、そうはいっても開口一番に「藤下サンの声聞きたくて、つい」と言われたのには本気で鳥肌が立ってしまった。
いや、過去形ではなく今も二の腕は鳥肌である。
「はぁ・・・もういい。何の用だ」
「何の用って、デートのお約束でしょ」
「・・・ああ、わかった」
「潔いのは素晴らしいね!」
「一回きりのことだ。それに負けたのは事実だしな」
約束は破らない。
こういったことにおいて言い訳するのは醜いだけだ。
「さっすが藤下サン」
よくわからないまま褒められて、あっという間に今週末の予定が決められたのだった。