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青で塗りたくられ、白が少しも見えない空は太陽の光で眩く輝いている。
快晴な空模様のように、今日が問題なくさっぱりと終わればいいなと思いながら運営のテントで欠伸をした。

まだ一般生徒の集合の時間ではない。
しかし、モニターの確認やトーナメントのあれそれについて最終確認等を行っている。
俺は今運営委員会からの報告待ちなのでこうして呑気に欠伸なんて出来る状況だ。

だがそろそろ一般生徒の入場も始まるだろうし、腕章を付けて気合いを入れねばならない。
やってきた委員の報告を聞き、他の委員と共に会場の最終チェックも済ませた。

今委員長は生徒会長と共に今日のスポーツ大会を観覧される理事長に挨拶に行っている。
つーわけで現場での指揮は、一応俺が生徒の中で最高責任者的な立場だ。
様々な情報を聞き漏らさず指示を出すのは難しいが、準備はもう終わりそうで一安心。
運営委員会の委員長が責任者やれよと思うけれど、この学校では生徒会と風紀がトップという形となっているので仕方がない。

さてはて、時計を確認するとそろそろ一般生徒を入場させねばならない。
放送委員会に召集の放送をして貰って、委員長達と共に来た理事長に挨拶に行く。
お偉いさんの相手は委員長達がやってくれるので俺はすぐさま退散。
ちらほらと寮から出てきた生徒の誘導へと向かった。

そうして生徒が集まれば開会式が行われ、各々の競技場や待機場所へと向かう生徒の誘導を行い、ひとまず仕事は終わりだ。
結果集計や審判などは運営委員会がやってくれるのでクラスの方へ向かう。
もちろん競技場には風紀委員が配置されており、俺もクラスの出番と被らない時間に見回りが入ってる。

「おつかれー」

「おう。俺らBコートの二試合目だよな」

「そうだよ。試合の時は無線外しとけよなー」

「わかってるよ」

片耳にイヤホンが突っ込まれているので、委員の奴らの会話が聞こえる。
有事の際にすぐ反応できなければ困るので常に緊張状態だ。
不良共が大人しくしてくれれば何の問題もないんだけどなぁ。

ちなみに俺はドッチボールに出ることになっている。
ドッチボールの他にはバスケとサッカーと定番の競技だ。
これがほぼ全員ルールがある程度わかるし盛り上がるのだ。

俺は体力やら力に自信があるとは言え、特に足が速いとか身長が高いというわけではないので無難にドッチボール。
ドッチボールは運動が得意ではない奴らが多いので、多分俺みたいなのが混じればそこそこいいとこまでいけるのではないか。
という魂胆ももちろんある。
優勝したら学食で良いことが起きる魔法のチケットがいっぱいもらえるしな。

ぼーっと目の前の試合を見ていれば次は俺らの番だった。
魂胆通りにあっさりと勝つことが出来たし、あまり関わらないクラスメイトとも話すことが出来て満足だ。
まぁ、この喜びをもっと分かち合うこともなく俺は見回りへと行くんだけどな。

「んじゃ、俺行くわ」

「おう、次の試合も任せたからなー」

「安心しとけ、守ってやっから」

なんて軽口叩いていざ見回りへ。
俺は校舎の見回り担当である。
日差しが厳しいのと競技場もあまり広くないので待機場所は校舎にもある。

今日は校舎はそこ以外は立ち入り禁止としているけど、まぁ守ってくんねーだろう。
待機場所には保健の先生とあと教師が居るのでまず馬鹿は出来ない。
人気のない校舎を一人で歩くのは、グラウンドから響く歓声なども含めて寂しいものだ。

慎重に、きちっと見逃すことなく。
だけど少しだけ急ぎめに早く終わらせようとしていたら、ガタッと音がした。

やっぱり馬鹿な野郎共がいるなぁと近くの教室をそっと覗き込むと、案の定そこにはガラの悪い奴らが居た。
勢いよく扉を開き、クソ野郎共にお灸を据えねば。

「言い訳は聞くだけ聞いてやっけど?」

「っち、くそ風紀かよ!」

「おいおい学校側から問題起こした時のこともちゃーんと忠告されてんのに、酒と煙草かよ」

こいつらまずどうやって手に入れてるのだろうか。
そこはまた問い詰めるにしても、まずは抵抗する気満々の顔面でも殴り飛ばそう。

「へ、痛いのやなら大人しく去れよ」

「はっはー、そうだなそうしろくそ風紀」

「・・・本当、馬鹿だな」

下品な笑いと共に拳が飛んできたので、返り討ちだ。
やはり喧嘩には手馴れてるらしく一つ一つの動きは俊敏だけど、それがどうした。
きっちりと全員の鳩尾に拳を叩き込み、回収のために風紀の仲間を呼んだ。

一番近くの先輩が早々に来てくれて、二人で手分けして問題が起きた用の部屋に放り込む。
今日は一々直ぐに相手してられないのだ。
半日は閉じ込めとくつもりなので水と簡易にエネルギー摂取出来るものも投げ込む。
まぁ生徒指導の先生に連絡したので手が空きさえすればすぐ処分しに来るだろうけどな。

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