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煮詰まった時には昼寝などして気分転換するのが王道だ。
なので俺はいつもの緑に囲まれたあの場所へ行く、ということが出来なかったので屋上へと来た。

一般生徒立ち入り禁止となっている。
しかし、風紀はもしもの場合のために屋上の鍵があるのでそれを少々拝借して合鍵を作った。
なんて蛇足はやめにして。

放課後は面倒な書類仕事や会議が入っているので昼休みに十分に休憩をとろうではないかと合鍵を使った所存だ。
作ったはいいものの屋上よりもお気に入りの昼寝場所があったのであまり利用はしていなかったけど、最近疲れたら屋上へ逃げるようになった。

見回り終わりに屋上でゴロゴロしてから風紀室へ戻るのを最近繰り返してる。
少しでも休憩すると後の書類仕事も案外捗るものだから公式に休憩時間を設けてほしい。
このままいけば俺が風紀委員長だからちょっと真剣に考えよう。

なんて風紀のことばっかり考えるようになってしまった頭を振りかぶって、購買で買ってきた甘さ控えめのアンパンを手に取る。
甘いものが苦手、という程でもないが控えめな甘さ程度がちょうどいい。

アンパンの後は一応栄養のことを考えてサラダを食べる。
まぁパン一個で足りるわけないのでビニール袋から惣菜パンをとる。
あと二つは食えるなぁなんて咀嚼しながら思って、今日の夜飯は食堂で何食べようかなんて考えてしまうのは男子高校生ならよくあることではないだろうか。

食べてしまえばあとはお昼寝タイムに突入だ。
5限目に間に合うようにアラームが鳴るように設定。
横たわって眩い太陽から顔を隠すように持参してきたタオルを顔にかけた。



アラームがけたたましく鳴る音に飛び起き、時間を確認する。
余裕を持った時間に設定してあるのでもう少しゆっくりしても大丈夫そうだ。

大きな欠伸をしていると、正面にあるために視界に給水タンクが目に入る。
そして、その上から灰色の煙が漂っていて、思わず顔を顰める。
ここに来るようになって、その時からよく給水タンクの上に人がいるのには気づいていた。
ただ昼寝をしているようだし、風紀ももしもの時以外屋上に入ってはいけないのでここは知らぬふりをして平和的解決だと気楽に考えていた。

しかし、流石に喫煙しているとなれば話は別だ。
授業に遅れるかもしれないが見逃すわけにはいかない。
それに校則違反を取り締まってたなら特別に遅刻扱いは取り消してくれるし。

取り締まりのために立ち上がり、梯子をのぼる。
証拠のために携帯のカメラ機能を立ち上げて写真をとる準備も万端だ。

「おい、喫煙なんていい度胸じゃねぇか」

「・・・あ゛?」

「お、まえは木更津か」

「っはー・・・面倒だな」

「現行犯。大人しくしてろよ」

寝転がっていたのを上半身をおこして胡坐になる木更津。
傍で膝立ちになり、逃がす気はないのだと睨めつける。

それにしても何やら考えているようだがいい加減煙草をやめて欲しいものだ。
それをそのまま口にすると俺の口に煙草を突っ込んできた。
口腔に蔓延する煙に噎せて、煙草を放り投げる。

「共犯」

「っは、ぁ、気分わりぃ」

自分で思ってる以上に煙草がダメなようで何度も咳き込んでしまう。
その間に逃げようとする木更津だけど、証拠写真は激写した。

後で呼び出してやると心に決めながら梯子を使わずに給水タンクから飛び降りた木更津の背中を見送る。
それにしても本当に気分が悪い。
これはもう木更津と押し問答でもしてたことにしてもうちょっと休憩だ。

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