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翌日、朝は弱いと言うのに学校は8時30分から始まるこの地獄。
最悪テレポートすればいいけど学内では実習や実戦の時しか魔法を使ってはいけないのでばれたら反省文だ、辛い。

俺のクラスはB。
可もなく不可もなしがBで、もうちょっと頑張ろうがC、Aはまぁイイ感じで、Sは頭良すぎて逆に頭イカレテるんじゃないか、ってのが俺のイメージ。
Sクラスは各学年10人ずつぐらいしかいないらしい。
学生時代Sクラスで、魔術の専門学校に進み更に絞られた数名だけが魔術特化の部隊への入隊試験が出来るようになるらしい。
こんだけ頑張ってやっと試験オッケーだなんてただの鬼畜だろ。
本当は俺も魔力制御してなければSだけど、普通が一番だよね、うん。

「あ、神谷くんおはよう」

「・・・はよ」

時間ギリギリに来た俺に扉のすぐ傍に居たクラスメイトが挨拶してくれる。
もっと明るく返事をしたいものの、そんな話したこともないから目を合わせるのもなんだか気恥ずかしいと言うか何というか。

俯き加減で歩いて、自分の席に着くと、すぐに寄って来てくれる俺の親友。

「あ、郁おはよ」

「和葉!おはよ」

たまたま出席番号順で前後だったために話しかけてくれたのが和葉である。
魔力レベルが上がることはそうそうないので一度同じクラスになると高校卒業までは大体一緒なのだが、かれこれ4年以上は一緒に過ごしてるのではないだろうか。
まぁもしも和葉がAクラスに行くことがあれば俺も魔力制御ちょっと緩めてA組へ行く所存である。

というかこの教室内に居る奴らもなんやかんやで大体一緒のメンバーなので、これでも少しは話せるようになったんだよ、マジで。
でもやっぱり和葉の後ろをずっとついて回ってた所為か、全然馴れる気がしない。
和葉の所為じゃないってのはわかってるけど言い訳に使う俺マジ小物臭凄いと思う。

暫く眠いだ何だ訴えていたら、そこで担任が入ってきたので一旦お開き。
ってことはあと20分ぐらいで一時間目の授業が始まるってことか、だめだ眠い。

「えー、今日の2時間目の戦技の実習なんだが、今回から暫く代々木先生に代わりに藤崎先生に担当して貰うからな」

「代々木先生はー?」

「先日の実戦で生徒が召喚した聖獣が暴走したのを止めて怪我してるから暫く休養だ」

俺の一族を例外として通常、一人では多くても4つ程の属性しか持てないので二人か三人の教員が付いてくる。
だからいつも代々木先生と荒木先生がペアで教えてくれたのだが、今回は藤崎先生と荒木先生の二人である。

どうやら先日Cクラスでは、召喚獣を呼び戦わせるという授業をしたらしいのだが、そこで確実に実力以上の聖獣(神獣の次に凄い召喚獣)を呼びだしてしまったらしい。
当たり前に制御出来ず、暴れまわるので代々木先生は右腕を噛まれながらも強制送還したらしい、凄い。

「あとはー・・・ないな、まぁガンバレよ」

「きりーつ、礼」

担任の言葉と共に委員長が挨拶して朝のHRは終わり。
一時間目の歴史の授業は正直退屈だし面倒だけど頑張ろう、そんで昼に和葉の美味しいご飯を恵んでもらうんだ。
そして放課後は俺の汚部屋を一緒に片づけて貰う。
本当に和葉様様、一生逆らえない気がする。
そんな俺のささやかな理想は二時間目の戦技の授業であっさりと崩れるなんて、予想したくなかった。

一時間目の歴史の授業が欠伸を噛み殺しながらも漸く終わり、実戦室へ向かう。
移動教室なのにトロトロ歩く俺の腕を引いてくれる和葉マジ優しい。

先に藤崎先生と荒木先生が実践して見せたものを各々で練習する。
残念ながら属性の違う和葉は他の方に行ってしまったので、俺はそこそこ喋れるようになってきた同属性の奴と一緒にする。
中学の時から一人でやっていた俺と、こういった実習などで一緒にしてくれるうちに普段からもそこそこ話せるようになってきて、今じゃこうゆう時本当に有り難い。
たまに和葉も交えて飯食ったりするけど、楽しいからもっと話せるようになりたいとは思っているんだよなぁ。

時々喋りながらも、実践通りにしているといきなり藤崎先生が来る。
その顔が何故か険しくて、思わずガチでビビって泣きそうになる。
だが普通の人はそれを険しい顔と思わないのか、一緒にしていた奴は何故か気を利かせているつもりなのか離れていった。
それとも逃げたのか、くそ、おいてくなよ。

「・・・・っ、」

「お前何でここに居る」

「その、あ、生徒、だし」

「ちげーよ、なんでBクラスなんだよ」

「すっ、すみませ」

「とりあえず放課後第六用具室な」

「はっ、い・・・ぁ」

怖い怖い怖い、なんなの子の人マジヤバい、目力、今話題の目力なの!?
てか話題の目力って一体何だよ、眼光やばすぎる殺される。

「おい、ちゃんと復唱しろ」

「ひっ、すぃ、せ」

「怒ってねーんだから謝るな。放課後第六用具室、ハイ復唱」

「ほ、かご・・・ようぐ、しつ」

「第六な、忘れんじゃねーよ」

呆然としていると何時の間にか藤崎先生は去り、一緒にやってた奴が戻ってきた。
どうしたのかなど聞かれたような気がするが、何と答えたかは思い出せなかった。


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