白に包まれる

何時の間にか街全体を覆うほどの大きな雨雲が、涙を零す。
薄暗い色をした雲の涙は次第に勢いを増し、木を、家を濡らしていきコンクリートは変色していった。

「・・・んぅ、あ、め?」

風向きが変わった所為か、窓を叩きつけるような音にびっくりして目を覚ますと、窓の外は薄暗い世界となっていた。
まだぼんやりとした視界で時計を見ると、時刻は朝の4時を示している。

昨日から透子さん達夫妻が三連休を使い二泊三日で旅行に行くということで、一週間ほど前に先輩からのお誘いを受けた。
連休なので小説でも書こうと思っていたのだが、久しぶりに先輩とゆっくりしたかったので二つ返事で頷いたのだ。
だが俺らは休みにも一日部活の練習があるので残念ながら二連休なのだが。

部活が終わり、共に先輩の家へ帰ると共に始まりそうになった行為。
恋人が二人っきりになれるからと泊まりを要求してくるというのは、必然的にそのような行為も含まれるとわかってはいるのだが、どうしても羞恥を拭いきれなかった。

その場をなんとかしようが、後に回すだけだと言うのもわかっていたが、玄関で深いキスをされたこちらの気持ちも考えて欲しいものだ。

結局昼間は我慢してくれた先輩も、夕飯後いきなり襲ってきたので結構な我慢をさせてしまっていたようだ。
少し反省しながらも、それにしたって休憩挟んで4回っておかしいと思う。
いや、それは俺がイった数だから正確には3回か。
でもそれにしたって多いだろう。

先輩はスポーツマンで大柄なので体力的にも精力的にも有り余っているは仕方ないとは思うけど、俺は体力は一応バスケでついてきてるけど基はただの引きこもりだ。
一般男子の体力が付いてきたってレベルで、小柄だからかはわからないが精力も多い方ではないと思うのだが。

痛む腰をさすりながら、後始末してくれた先輩の腕からなんとか抜け出す。
抱きしめられて寝ると言うのはなかなかに気分はいいのだが、力が強すぎるだろう。
肩に回されていた手の痕が付いてるってのは、なんかもう単純に凄いと思う。

今の俺は全裸なのでとりあえず服を着よう。
このまま先輩の家、すなわち透子さんの家を全裸で闊歩するのは心苦しい。

痛む腰、それに低血圧の所為かまだまだ足取りが覚束なくて、壁にぶつかりながらも、床に落ちていた白いシャツを拾い上げ羽織る。
所詮男子高校生なので、床に落ちていようが何だろうが関係ない。
それに朝早いのでまだまだ肌寒いのだ。

昨日教えられた風呂場へ行き、シャワーを浴びてやっと目が覚めたところであがる。
そうして部屋で拾い上げたシャツを着る。

「・・・コレ、先輩のかも」

かもしれない、ではなく絶対そうだ。
特に何も考えずに、しかもボタンも閉めずに本当に羽織ってただけなので長さになんかまったく気が付かなかった。
まあ泊まると言うことで部屋着は持ってきてるのでまた着替えればいいだろう。

使ったバスタオルを肩にかけ、目が覚めたと思っていても結局また欠伸が出てきたのでもう一眠りしようか、なんて考えてたところで部屋に着く。

「あ、先輩起きてたんですね」

「んー・・・時雨は、風呂入ってた?」

「はい。シャワーだけですけど気持ちよかったです」

「そっか。それにしても眠くないの?まだ5時前だよ」

「眠いです」

先輩も話しながら何回も欠伸してるし、俺もやっぱり眠い。

「でもさ、そんな格好して誘ってるの?朝だから俺は大丈夫だよ?」

「は・・・?っ、あ、勝手にシャツ借りてすいません」

とゆうか俺今下着履いてない。
慌てて太腿らへんにかかっている布を押さえると、何かを察した先輩が近づいてくる。
思わず後ずさる俺は、すぐ壁にぶつかり、腕を引っ張られて寝台に引き倒される。

「せんぱ、ちょ、昨日・・・」

「えー、だってー二泊もあるんだよ?一日ぐらいさー思いっきりヤりたくない?」

「ちょ、冗談ですよね!?俺昨日ので限界超えてるんですけどっ!」

「でも彼シャツなんてされたらさぁ、ねぇ?」

もう一度自分の今の姿を思い出し、その瞬間には先輩に太腿を揉まれる。
その手が太腿から尻の方へ移ろうとするので慌てて叩き落とす。

「時雨のけちー。じゃあちゃんと見せて」

「っ、何もしないですよね?」

「仕方ないから諦めるー」

一息吐くと、そのままベッドの脇に立つ。
裾を手で押さえるのは恥ずかしいからだ、仕方ない。

「ふ、俺のを時雨が着てるのってやっぱ気分いいねー」

「そんなまじまじ見られると恥ずかしいんですけど・・・っ」

太腿を撫でる手に必死に耐えてると、今度は裾を押さえてる手に触れてくる。
これは危ないと思ったものの、それは勘ぐりすぎただけで、俺の手を取ると袖に隠された指先にキスされる。

「やっぱ時雨じゃ俺の着たらぶかぶかだね」

「成長期なので大丈夫です!」

「ムキになって可愛いんだからー」

「もうお終いです!俺お腹すきました!!」

「はいはーい。じゃあお姫様のご要望に応えて朝マックでも買ってくるか」

「お願いします」

買ってきてもらうのだから一応でもお礼しなきゃいけない。
そんな俺は一矢報いるため、今立っているおかげで見える先輩の額にキスをした。

「・・・時雨、やっぱり一発」

「早く行って来て下さい!!」

「はいはい、承りましたお姫様」

そして立ち上がると唇にキスをして、着替えると出かけて行った。

「・・・あー、心臓に悪い」

先輩のシャツのまま、ベッドに寝転がる。
ついつい寝てしまった俺が先輩のキスで目覚めるまで後20分。

白に包まれる
(まるで貴方に抱きしめられてるみたい)



[ 42/43 ]

[前へ 目次 次へ]
しおり





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -