静まらぬ熱

休日、午後1時半。
今日も透の美味しいご飯で腹を満たし、微睡みのなか本を読むのも辛くなってきた。
隣に腰掛ける透の膝に、悪戯のつもりで勢いよく頭を乗せる。
すると驚いたように目を瞬かせ、次第に柔らかい笑顔を見せ、なんだよー、なんて苦笑しながら俺の髪の毛を撫でてくる。

男なら、嫁のこんな可愛い姿を見てドキッと、そしてムラッとくるのは仕方ないだろう。
やっぱり寝るんならちょっと運動したほうが良いのではないかと親父臭いことを考え、結果的に行動に表わそうという俺はやはり親父化したのだろうか。

「透ー」

「どうしたんだよ、紅」

頭をグリグリと透の下腹部に押し付ける様に動かし、極め付けに腕を回して腰をがっちりとホールド、そして背骨から臀部まで指を滑らす。
本当はズボンに手を入れたかったが流石にそれはがっつきすぎてかっこ悪い。

だと言うのに、笑うとはどうゆうことだ。
これはゆゆしき事態である。

「なぁとお・・・」

「紅眠いの?俺も眠くなったからお昼寝する?」

今言葉を若干遮られた感があり、これは遠回しに断られたのか。
透は和やかにじゃあティーカップ片付けてくるねと言った。
透の、男だから硬いけど俺にとっては最高の膝からソファーに頭を乗せる。
ソファーの方が柔らかいけど透の膝の方が良かった。

それにしてもムラッときててもう眠れそうにないのだが。

「紅ー、皿洗ってから寝室行くから、布団温めといてね」

「じゃあシャワー先入っとけよ」

「・・・?俺汗臭かった?あ、今朝シーツ換えたばかりだから入った方がいいか」

多少強引にでも誘えばきっとのってくれるだろうとシャワーと言ったのだが、どうやら透の中で昼寝することは既に決定事項らしい。
別に俺も昼寝すること事態は反対ではないのだが、愛の営みというものをだな。
とりあえず寝室へ先に入った俺はベッドに寝そべる。

大体、家の中に充満する透の美味そうな匂いで常にそうゆう気分なんだ俺は。
その上で可愛い仕草を見せられてしまえば行動に移すしかない。

透の匂いが特に濃い場所は首元だったり、身体の中心部であるアソコだったり、臀部からも良い香りが漂ってくるのだ。
短い間であったが膝枕は透の身体の中心部に近い場所であったし、一瞬で匂いにやられてしまうのは仕方ない、なんて正当化しよう。
だからもうやりたくて仕方ない。

余裕が無くて悔しいものの、やはり透の血、香り、どれをとっても最高だ。
王だ何だ言われても、愛子というものは吸血種を狂わせる。
ただ他よりも耐久性に優れていると言うだけなのだ。
ずっと触れたいし、一滴残らず血を吸い尽くして隅々まで痕をつけたいぐらいだ。

透はしっかりしているものの所々抜けているところがあるので可愛い。
ではなく、いや可愛いのだが、兎も角他の吸血種に襲われかけたりなど心配事は絶えない、だからこそ閉じ込めたいと思ってしまうのだが。
怪我が治るまで部屋で軟禁生活を送って貰っていたが、あの時の気分の良さは半端なくて自分は危ない思想でも持っているのかと心配したぐらいだ。

ごちゃごちゃ透について考えている時点でもうダサいな、と最終的に自己嫌悪に陥りそうになっていると、寝室の扉が開く。

「お待たせ。紅もシャワー浴びる?」

「ああ」

ホント、口先だけなら冷静でいられると言うのに。
頭に被せたタオルから少し見える髪の毛から滴る雫が首筋を伝っている。
風呂に入って匂いが多少薄れたものの、その壮絶な色香に当てられそうでそそくさとシャワーを浴びに部屋を出る。

最初に冷水を浴びることで頭を冷やす。
当たり前に冷たかったけれどこのぐらいがちょうどいい。

その後思考を落ち着けるために延々と冷水を浴び、暖水を浴び、と繰り返してようやく思考が整ってシャワー室から出ると置いてあった柔らかなバスタオルで水分を拭き取る。
透も同じバスタオルを使ったのか少し匂いがして、整ったはずの思考がゆるゆると崩壊していきそうな様子なので深呼吸して気持ちを落ち着ける。

そうして寝室の扉の前でもう一度深く呼吸をしてから扉を開く。

「こ、ぅ・・・?」

「っ、はぁ・・・どうした?」

寝台に寝転がっている透は、俺の枕を抱き枕のように抱きしめている。
そして横になっていたせいか本格的に眠そうな透の目はほとんど開いていない。

俺のこの溢れ出る劣情をどうすればいい。
眠りに落ちそうな透とは正反対に俺の脳みそは美味そうな透を骨の髄までしゃぶり尽くすことしか考えられそうにない。

「早く、寝よ?」

「でも俺はヤりたい」

「・・・?なにするの」

普段ならば流石に直接的な言葉を投げかけるとすぐにわかってくれるのだが、眠い透の頭はあまり動いていないようだ。

「ね、紅・・・?来て、」

その言葉に飛び込むように寝台へ乗り上げると透は抱えていた俺の枕を放り投げ、俺の背に手を回して、ものの数秒で寝息を立て始めた。

「・・・・はぁ」

「すぅ・・・すぅ・・・」

とりあえず、起きたら絶対ヤるしかない。

静まらぬ熱
(君が欲しくて狂いそうだ)



[ 41/43 ]

[前へ 目次 次へ]
しおり





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -