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決めたとおり翌日大学へ行くと、友人に合コンに参加させてくれと言ったら人数が足りなかったんだ、とむしろ大歓迎された。
夜の7時に駅から徒歩3分ぐらいの場所にある居酒屋に集合らしい。

ゼミに顔を出して助手のようなことをしたり友人と遊んだり。
時間を潰していればあっという間に時間となり、急いで居酒屋へと向かう。

今日の目的はこの現状の忘却と新しい道だ。
アイツのことはすべて忘れて俺も幸せな未来とやらを手に入れようじゃないか。

「おーい、こっちこっち!!」

「おぅ、待たせたな」

「大丈夫だって!女の子たちは30分後に合流だからな」

「なんで?」

「話下手な奴らもいるからある程度酒飲んでからのがいいんだよ」

「へー」

今までもあまり合コンに参加したことなどなかったし、何だか新鮮だ。
俺が頼み込んだ友人、天城和幸(あましろかずゆき)と共に女の子を待ちながら酒を飲みながら話しをする。
他の男達も適当に雑談してるみたいだし大丈夫だろう。

「それにしても本当に久しぶりだよなぁ」

「まぁな、天城はほぼ毎日やってんだろ」

「金無いから毎日は無理に決まってんだろー!」

悲痛な叫びのようなものをイメージしてかうおおおと再び叫んだ天城は、どうやら既に酔っているようだ。
酒が弱いくせに酒が好きだから、相手の子はちゃんと尻に敷いてくれる子がきっとお似合いだろうな、と自分の事より天城の相手を想像してしまう。

「今日はK女大の子呼んだけどさ、お前タイプは?」

「え・・・あぁ、大人しい子」

今まで八尋についていくだけだったけど、今度は俺が守ってやりたい。
男らしい男になって、出来るかもしれない彼女を大切にしていきたいんだ。

「見た目はやっぱ清楚系?てかお前意外と亭主関白タイプなの?」

「少しぽっちゃりした子好きかも。亭主関白じゃねぇよ」

「お、お前もぽっちゃり好きか!俺もだぜ」

「なんか癒されるよな」

八尋とゲーセンに行って取って貰ったゆるフワ系のぬいぐるみが可愛くて、それからフワフワして癒されるものが好きになった。
朝、そのぬいぐるみをゴミ捨て場に置いてきたけれど。

「てかよー緒方って災難だったよなぁ」

「・・・何が?」

「子供出来ちまったらしいからよー」

「そう、みたいだね」

「え?お前見たのか!?相手の女って確か元カノだろ?」

「綺麗な子だったよ。元カノかは知らないけど」

八尋と並んでも遜色ないぐらいには綺麗な子だった。
つまりは俺なんかが到底敵うわけもないぐらいにはお似合いだったわけだ。

「でもよー、なんか噂があってな」

「八尋の?」

「ちげーよ、相手の女の!」

「二股だったとか?」

「アイツ手に入れるために他の男と子供作って緒方のにしたんだとさ」

「何それ、怖いな」

「緒方も根が真面目だから子供出来たとなりゃ結婚って考えてるだろうしな」

「病院で調べりゃいいのに」

「だよなーっ・・・」

電話が鳴り、天城がそれに出ると次第に笑みが広がってくる。
どうやら女の子たちが到着したようだ。
それを感づいた他の男達も慌てて机の皿とかを整理し始める。

八尋のことを聞いて案の定動揺してしまったが、きっともう大丈夫。
今回の合コンでは俺のような地味な男好きになってくれる子は居ないかもしれないが、これからもちょくちょく顔をだしに行けばいい。

皺の寄ったシャツを手で出来るだけ整えて俺も机の整理や新たに料理を頼んだり手伝ってみると、なんだかそれだけで心が浮き立つ。
八尋のことを忘れかけている証拠なんだろうな。

まだ胸が痛いなんて。
きっと気のせいだ。




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