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天井が視界に入る。
なんて寝覚めの悪い朝なんだと、原因はわかっているが歯痒い気持ちは抑えられない。
視線を下に落とすと、捲れた裾から覗く赤い痕。
腹部にも結構な数の痕が残っているのだが、それ以上に胸元に痕を残されていることは昨日部屋に戻って既に確認した。
嘘だと願いながらもわかっていた現実に一つ溜息。

まだダンボールの多い汚い部屋だが、それでも時計や服などは既に出している。
人は現実で嫌なことがあると夢の世界へ引きこもるらしいが、それは正しかったらしい。
ベットの脇にある目覚まし時計を見ると、時刻は既に12時を過ぎており、間も無く13時になろうとしていた。

「っ・・・!」

首筋の赤い、約束の痕をなぞる様に触れてみる。
その後胸の前で拳をきつく握り、目を瞑ると昨日の情景が浮かぶ。
同時に撮られた恥ずかしいところを思い出して顔に熱がこもるのを感じた。

どちらにせよ、今自分に選択肢はないのだ。
とりあえずでも昨日の青年の家に向かい直談判すれば、何か道は開けるかもしれない。

寝間着から適当なシャツに着替えて家を出れば、すぐ隣の呼び鈴を鳴らす。
すぐに出てきた青年の後ろをついていきながら中へ入る。

「・・・昨日の、ビデオは」

「アレ?もう捨てたけど」

「じゃあ、僕はもう帰りますから」

「ちょいちょい待ってよ」

寝室への扉へ手をかけたのを眺めながら、立ち止まり声をかける。
どう対処すればいいかと、深刻だったのにあっさりと返され出鼻をくじかれたようだ。

「流石に犯罪みたいなのはしたくないからさー」

「なら、もういいだろ」

「良くない。ま、ちょっと待っててよ」

近づいてきた彼に腕を掴まれ、やばいと思った時には手と脚を縛られる。
犯罪には手を出さないと言いながら、こんなことするとはふざけた奴だ。

動けない俺に、奴は寝室へ向かい、女の人を連れて出てきた。
バスタオルしか身に着けていないその姿に驚き、僕を見て相手も驚いていた。
女性は奴に急かされて違う部屋に押し込められ、暫くすると玄関の開く音と甲高い声が聞こえてくるも、やがて扉の閉まる音と共に静寂が戻る。

「っ、こっち来ないで・・・!」

「はいはい、大丈夫か?」

戻ってきた奴はそう言いながら縄をほどき、僕を抱えてソファーに腰掛ける。
自由になった足で逃げようともがくけれど、腹に回された手がそれを阻止してくる。

「放せっ!」

「今何もしてねーだろ?大人しくしないと・・・な?」

一体何が彼の興奮を煽っているのかわからないが、押し付けられた熱の塊は本物で。
思わず悲鳴が漏れるのは仕方ないと心の中で言い訳する。

「どちらにせよヤるけどさ、まあそれじゃあ可哀想だろ?」

「犯罪がどうのこうのって言ってただろ」

「それは置いといて、お前が耐えれたら俺はもうお前に関わらない」

簡単だろ?と言うけれど、どんな賭け、ゲーム内容なのかわからない。
頷くのをためらっていると、拒否るならこのまま犯すと言われ、慌てて頷く。
早計だったかもとは思うものの、回避できる道があるならそっちを歩むまでだ。

「あ、その代わり耐えれなかったらお前、これから俺のモノな」

「はぁ!?・・・わかった。で、内容は?」

「俺が悪戯するから、腰が抜けたりイったらお前の負け」

「っ、お前の方が有利じゃないか!」

「じゃあ二回勝負にして、制限時間は5分。どう?」

「それで、いい」

そこで了承して良かったのかどうかなんて、わからなくて。
もう少し粘ったらこちらに有利なものにできたかもしれないが、逆にいい加減にしろと無理やり犯されるのも御免だ。
状況事態理不尽なものなんだから、なんとか活路が見えてきただけでも良しとしよう。

立ち上がる、というよりは僕を抱えたまま奴が立ち上がっただけで。
不安定な状態が不安でおもわずそっと奴の腕を握るのだが、それを笑う男は寝室まで俺を運ぶと、僕を壁に押し付ける。

「せ、めてベッドにして、よ」

「えー?だってさ、初めてがこうゆうのって思い出に残りやすいじゃん?」

あまり思い出したくないのだが、と思いながらもこれで最後にすると耐えるしかない。
奴は携帯を取り出すとタイマーで五分と設定し、僕に見せるとボタンを押す。

早速と言わんばかりに首筋を舐め、シャツを脱がして胸に触れてくる。
昨日触れられて腫れぼったくなったそこは、少し触れられただけで熱を持つ。
頭をもたげてきた下半身の熱を揉みこまれて、脚が笑う。

腰を抜かす、と言うことはきっと座り込んだら僕の負けなのだろう。
実際に彼は僕の乳首を食みながらそう言った。
目の前の身体にしがみつきたいと思いながらも、自分の力で立っていられないと自ら言っているのと同じようなものだ。

ズボンのフロントホックを外されて直に触れられたそれは既に完全に勃ちあがっていて。
なにか別の事を考えろと思いながらも、しゃがみ込んだ奴が僕のを、食んでいる。

「いやっ、だ、やだ、ぁん」

「これは俺の勝ちかな?」

タイマーはまだ鳴らないのか。
もう既に身体は熱の放出を望んでいて、本当にやばい。
ねっとりと絡みつく舌は、的確に快感を刺激してきて時折鈴口を抉る舌先が堪らない。

きっと僕がまだ女性とそうゆう経験をしたことがないのも大きな原因だろうが、五分でイくなんてプライドが許さない。
それでも高められていく熱は確実に身体を蝕み、呆気なくイってしまった。


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