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一面に広がる青を目を見開いたまま凝視する。
そんな俺を横で会長が眺めているのは気づいているけど知らないふり。

「すごい、です」
「そんなに気に言って貰えたならよかった」

辿り着いた島は小さなコテージだけの本当に休養のための場所であった。
船には料理人さんやお手伝いさんも乗っていて俺たちのためにいろいろして貰うなんて少し申し訳なかったけど折角なので良しとする。
既にお昼の時間になっていたので早速昼食を用意してもらい、その間俺たちは散策だ。
というわけで海を眺めていたのだがまさかこんなにきれいだとは思わなかった。

「日本でもこんな綺麗な場所があるんですね・・・」

ゴミ問題とかその他諸々で汚染されているイメージが強かったと言えば確かにそうだと言い、昔はこれ以上に透き通っていたというからその時に行きたかったなとわざとらしく口を尖らしてみる。
もっと早くに出会っていればなと笑う会長に、俺も、と頷く。
思い出をなかったことにしたくないけど、今会長と出会って幸せだからこそ思う願いだ。

「昼は近くの海でとった魚介料理だと言っていた。楽しみにしとけ」
「はいっ!やっぱりプロは凄いですよね・・・弟子入りしたいです」
「俺は今のお前の味が好きなんだが」
「・・・ありがとう、ございます」

ナチュラルに褒め言葉をくれる会長に恥ずかしいとは思いながらもやっぱりうれしい。
最近は雅と棗のためが30パーセントぐらいで会長のためが70パーセントを占めるぐらいだ。
恋は盲目だなんていうけれど、少しそんな状態になってきてる気もする。

それから少し歩いたところで昼食が出来たと呼びに来たのでついていく。
するとテーブル一杯に並んだ料理に思わず声が出そうになるけど頑張って押さえた。

処理とか下準備とか面倒だからあんまり自分で作らないんだよなあとしみじみ思う。
焼き魚とかならするけれどイカとか海老とかはやっぱり難しそうだしなぁ。
そんなことを考えながら座って頂きますと言えば料人さんが丁寧に解説してくれるからついつい俺もこれって味噌いれてます?とか三枚おろしを綺麗にするやり方は?と話しこんでしまって食事の時間が多いに長引いてしまった。

食後は水着を準備してもらっていたので着替えて泳ぐことに。
会長の姿がいろいろと眩しくて真正面から見れない。

「会長、あんまこっち見ないでください」
「なんで?」
「だって、会長筋肉いっぱいじゃないですか!」
「お前も意外とついてると思うが」

そんな言い合いも途中から無限ループだと気づいたので笑って終わりにした。
水は太陽に暖められて温い感じだけどやっぱり涼しくて気持ちが良かった。

「ちょ、会長!水、!水やめて!」
「・・・なんかいいな」

ずぶ濡れになった俺に何やら呟くけれどそんなことはどうでもいい。
今現在、浅いところで水かけっこだ。
二人でビーチバレーとかもあれなので何しようかと悩んでいればいきなりの会長からの攻撃。
勿論頑張って反撃しましたよ。

「あー、びしゃびしゃ」
「そのための水着だろ」
「そーですけど・・・目に入って痛いんですけど」
「大丈夫か?」
「赤くなってないですよね?」

会長が片手で頬を押さえ、もう片方で眼科検診のように目の下を引っ張る。
じーっと見つめられる距離が近くて恥ずかしくて顔が熱くなってきたのに会長は気づいてしまったらしくにやりと笑う。

「かいちょ、」
「帝」
「み、かど・・・」

雰囲気のままに目を閉じれば唇に柔らかい感触。
目を開いて、笑いあう。

嗚呼、なんて幸せな時間だろうか。
コテージへと帰るまで繋いだその掌の温もりに、嬉しすぎて顔がゆるんでしまったのも、きっと会長にはお見通しなんだろうな。


END


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