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何時の間にか日は沈み疲れたと共同スペースへ向かうと既に同室の男がそこにいて雑誌を読んでいた。
なんでもいいから会話をとりたいと話題を探してみるとふと先輩との会話を思い出した祐太はそっとその背中に近づいて抱き付いた。
びくっとするその男に思わず笑うと見るからに不機嫌そうな顔をした男がこちらをむいてきた。

「名前はー?」
「・・・藤崎悠翔」
「悠翔ってさー、ゲイとかバイなのー?」
「んなわけあるか」

とうざきはると、と心の中にその名前を刻み込んで悪乗りの延長戦ということで抱き付いている腕の力をさらに強めてみた。

「でもここゲイの巣窟らしいよー?俺で試してみないー?」

本人は「試してみる」の意味をわかってはいないのだが藤崎は正確に読み取って顔を顰める。
明らかに意味を知らない祐太は何回も誘いの言葉をかけてきて無視を続ける藤崎も流石に苛立ってきたのか貧乏ゆすりが激しくなる。
そんなところだけ目ざとく発見した祐太は目の前にある金髪に染められた髪に唇を落とした。
瞬間体を反転させた藤崎が胸ぐらをつかんで引き寄せると体格が劣っている祐太は簡単に引き寄せられて。唇が、重なる。

「んっ、ふぁ・・・ちょ、おい!」
「・・・んだよ?お前から誘ってきたんだろ?」
「じょう、だんに決まってんじゃん!!俺のファーストキスっがぁ!!!!」
「知らねーよ。てかお前童貞か」
「うっうううるさい!!」

叫ぶ祐太の唇をもう一度塞ぎ馬乗りになって足をそっと撫でると目を瞑って刺激に耐えている様に藤崎は目を細めた。
藤崎は上から覗き込み、その視線の鋭さに怯えるように体を縮こませる。
それさえも嘲笑うようにズボンのチャックを開ける藤崎に本格的な危機感を覚えた祐太は必至で抵抗してみるも体格的にも力的にも完全に負けているわけで。
下で小動物のように身を縮こませる祐太に思わずゴクリと唾を飲み込んだ藤崎はそっと祐太を抱き上げた。

「なにすんだよ!!変態、バカ死ね!!」
「うるさい」

なおも暴れ続ける祐太を連れて行った先は藤崎の寝室で、これから行われるであろう行為をしたことはなくとも簡単に予測できた。
ベッドの上に乱暴に落とされた祐太は覆いかぶさってくる藤崎の体を押し返しながらも近づいてくるその顔を片手でギュッと握りこむ。
一瞬動きが止まったその瞬間を狙って男の急所を蹴り上げると蹲る藤崎の体の隙間から抜け出した。

「へっへー!!ばーかばーか!悠翔なんか不能になっちまえー!」

さっさと逃げればいいものをわざわざベッドのすぐ近くで騒ぎ立てる祐太に痛むそこを押さえながら冷静に馬鹿にする藤崎の思考。
最初はここで終わらせようかと思っていた藤崎は、今現在の罵声と先程の真っ赤に染まった祐太の顔を思い出し、シーツに顔を埋めながらニタリと笑うと力を振り絞って起き上がる。
対する祐太はいきなり起き上がった藤崎にびっくりして慌てて扉の方へと向かうが完全に後の祭り、ドアノブに手をかけた瞬間ドンッと音がして、すぐ後ろにいるその気配と顔のすぐ横に置かれている逞しい腕に目を瞬かせる。

「ぅえ、・・・あ、っ!!」
「ったく、何が不能になれだ馬鹿」

意味のない言葉と声にならない叫びをあげる祐太をもう一度ベッドに押し倒して覆いかぶさると先程の二の舞にならぬように片手で祐太の細い腕をまとめて拘束し、唇でさわがしい声を防ぎ、もう片方の手で祐太の恐怖で縮こまったアレを握りしめる。
男の急所とはもちろん祐太にも言えるもので一度放した唇を耳元に動かし、何か馬鹿な真似したら握り潰すぞと低い声で告げた。
顔面蒼白になる祐太を気にせずにシャツを脱がせ、ズボンを脱がせて下着だけの状態にする。
胸元に顔をよせ心臓の真上らへんを舐め始めた藤崎に本能的に恐怖を感じるが舌が乳首を掠めるとムズムズとしたよくわからない感覚が広がっていく。

「あっ・・・ひい、ぁあっ!」
「んだよ、感じてんじゃねーか」

暫くそこを弄っていると祐太の体の力が抜けていったのがわかり、無意識に笑うと藤崎はその手を下着のなかに突っ込み、そこを直に扱き始めた。
少しだけ反応を示していた祐太のそれもすぐに硬度を増していき完全に勃起してしまった。
恥ずかしくて堪らなくて腕を両手で顔を隠したがそれすらも藤崎に邪魔されてしまう。
身に着けたままの下着が気になって仕方ないけれど脱がす様子などなくもどかしい感覚に陥り溢れ出す嬌声を耐えることもままならなくなってきた。


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