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「天宮ー、こっちこい!!」

いきなり後ろから声をかけられて振り返ると数人の先輩がこちらに向かって手招きしてきた。
普段は部長であるあのふざけた先輩といることの方が多くあまり他の先輩とは話したことがないので新鮮だ。

駆け寄ってみるとこれから部活の懇親会が行われるらしい。
適当な学生の懐をあまり傷つけない程度の金額のお店らしい。
まあたまにはこうやって学生同士で遊んだりすることも悪くはないなと思う。
ささっと着替えて部室から出ればみんながもう集まっていたので駆け足で向かった。

「しっぐれー!」
「大声で人の名前呼ばないでください」
「後は大谷と中浜と斉木だけだねー」

完全なるスルーももうなれたことなので気にしない。けれどむかつくのは仕方がない。
将来の職場の上司がこんなのだったら相当ストレスたまるんだろうなぁ。俺作家で食べていけなくなって普通の会社に就職することになったらどうなるんだろう。
そんなことを考えていれば全員そろったらしくてお店へと出発することになった。
当たり前のように先輩の隣に居る俺につっこんでくれるような人が居ればこの部活更に好きになったのにな。

お店についてあれやこれやとたのめばすぐにテーブルの上には食べ物が隙間なく置かれる。
全員に飲み物が行き渡ったことを確認して乾杯の音頭をぶちょーさまがいつもの様にふざけた調子でとって乾杯すればすぐに食べ物に手を伸ばす。
部活が終わったばかりなのだから皆相当お腹が空いているのだろう。それは俺もなのでとりあえず一番近くにあったたこ焼きに手を伸ばす。
そして五十嵐先輩が前の方からもどってきやがる。やはり当たり前のように俺の隣に座る。もう誰でも良いからマジでつっこんでくれよ。

「よし!!なんかゲームでもしようぜー!」
「お、いいな!何やる?ビンゴか?じゃんけんか?・・・つまらないな」
「王様ゲームでもやるかー?」
「いやいや王道過ぎるでしょ」
「でもだからこそってものがあるじゃんよー」
「んー、部長!何します?」
「時雨がやりたいのをしたいなー」
「・・・・・・」

絶対に面倒くさくなったから俺にまわしてきやがったんだろう。
それでも周りの先輩はじゃあ天宮さっさと決めろーとアルコールも入っていないのにすでに出来上がったようなテンションで話しかけてくる。
そう言われても何がしたいとか特にないんだけどなあ。

「・・・じゃんけんでいいんじゃないですか?罰ゲームとか決めればそれで面白いと思うし」
「天宮ナイスアイディアー!そうか、罰ゲームか・・・いいな」
「あ、じゃあ一番強かった人が一番弱かった人に罰ゲームを言い渡すってのはどうだ!?」
「いいじゃんそれ!!でもせっかくだから二番目に弱かった人にも罰ゲームにしようぜ」
「そうだな!!でも一番弱かった奴よりは簡単な罰ゲームだな。ってことでじゃんけん大会始めよー!!」

いわゆる体育会系のノリというのかしらないがまわりもうおーとだとかいろいろな声を上げている。
まあじゃんけん大会ってのはそんな面倒くさくもないしとりあえずグーチョキパーどれかの形を作れば良いだけなんだし。


なぜ勝てない。
最初に藤堂先輩として次に初戦敗退の他の一年として負けて次は二年生の先輩に負けて。
あれこれしていれば何時の間にかビリ決定戦に出ることになってしまった。まったくもって嬉しくともなんともないけれど。
どちらにしても罰ゲームだけれどビリよりは軽い罰になるのだからせめてここでは勝ちたいものである。
対戦相手は誰かと待っていると現れたのはまさかの五十嵐先輩であった。
意外すぎるというかなんというか。でもなんでもいいから勝ちたいのである。負けるわけにはいかない。

「「さいしょはぐー、じゃんけんぽん」」
「・・・・あー、まじないわー本当にないんだけどー」

結果。
俺の負けである。
目の前で助かったーとへらへら笑うその顔が本当に恨めしい。
へこんでテンションが下がりまくりの俺と違ってすごく楽しそうな決勝戦では二年の先輩が勝ったらしい。
嗚呼どんな罰ゲームがくるのか憂鬱でたまらない。

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