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「先程まで光宏(会計の名前)と話していただろう!!」
「さっちーミート食べて頂きます?・・・あ、頂きます言うの忘れてた」

あの物凄い歓声のせいでウエイターさんに頂きますを言うのを忘れてしまった。いつも立ち去られる前に言うようにしていたというのに。
今はもう他の生徒の対応をしているだろうからもし帰り際に見えたらご馳走様は絶対に言おうと心に決める。
そして突如そんな一人の世界に入っている俺ですら現実世界に強制的に戻す大きな声が響き渡った。

「お前さっきまで光宏と普通に話してたじゃん!!なんなんだよ!?」
「追う先にミッフィーは下じゃーじなんです?・・・まじで!?」
「ちげーよ!!ふざけんな!!」
「ち●こ塞いでやる?」

ええ!?そういうプレイがあるって例の近所の姉ちゃんに聞かされたけどこいつもそういう嗜好の持ち主なのか。危ない奴だな。
こいつとはこれから何があっても深く関わらないようにと心に決める。
そんな中またもや副会長の下品な発言(勘違い)をするので流石にそれは声に出さない方がいいと言ったらきれられた。
なんか顔が真っ赤になっているから熱でもあるのかもしれない(勘違い)。

周りのいわゆる親衛隊と呼ばれる男たちに言うのはあれかもしれないが可愛らしい奴らに凄い見られて困惑する。
ああそっか、一応こんな下品な発言ばかりする副会長も顔だけ(ここ重要)は凄いいいからなあ。やばいよ俺目つけられたか!?
(実際は毬藻にあれこれ言う俺を尊敬の眼差しで見てただけらしい。後に会計に聞いた話だ)
この前もこんなこと考えたなあと思い、そして実際は何の危害も加えられなかったことを思い出す。きっと今回も大丈夫であろう。

「貴様本当にいい加減にしろ。ふざけたことばかりいいやがって」
「金太郎兄さん素面の馬鹿いいや蛾です?」

下品なことは言わなくなったけれど意味が不明だ。うん、聞き取れていないことはわかっているけどやっぱりどんなに注意深く聞いても聞き取れない。
先程話した会計さんの声は低くて聞き取りやすかったんだけど毬藻くんは声が甲高いため聞き取りにくい。
副会長は聞き取れそうででも・・・な微妙なラインである。声の高さ低さで決まるものなのだろうかと首をかしげる。
そういえば一番授業で聞き取りやすい生物の先生も声が低めだったような気もするな。

「君の名前はー?」
「鮎川です」
「下は?」
「瑞樹です」
「へー、かわ―――」
「貴様!!だからなんで光宏とは話せているのだ!?」
「・・・ふーくかーいちょ?邪魔は駄目だよ」
「すまない・・・風真、帰ろう」

なんか知らないうちに進展があったようだ。
これで落ち着いて食べれるとすっかりと冷めてしまったハンバーグを見る。
いや、きっと冷えても美味しいのだろうがやはり出来立ての熱々のを食べたかった。
たぶん副会長と毬藻はもう俺に話しかけないとは思うし今この場に残っている会計とももう直接関わることはないと思うし。
俺の安心スクールライフがようやく帰ってきたと思うと今すぐ歌いだしたい気分だ。

「みーずきちゃん。一緒にお昼食べてもいい?いいよねー、ありがとう」
「・・・・いがぐり?」
「あーうん、聞き取れなかったのね最後の方」
「はい」

苦笑しながらこちらをみる顔はやはり整っていて声もいいとは全く世の中不平等なものだ。
てか将来恋人は絶対に滑舌が良くて声がいい人がいいなあ。コミュニケーションが出来なかったら何も相手のことを知ることができないし。

「何考えてるのー?」
「恋人は会計さんみたいな人が良いなと」
「・・・じゃあ付き合おうか」
「ジャズ気負う?」
「好きだよ」
「酢の物?」

実は聞こえてしまっただなんてのは秘密です。

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