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学校へ行く。
それだけの行為に、どうしてこうも胸が苦しくなるのだろうか。

それに対し、分かりきった答えを自分の心の中で呟くと時間だからと玄関へ向かう。
はやく会いたいだけだ、会って、伝えて、それから。

どうなるかなんて、それを想像することなどもう諦める。
なるようにしかならない、それでいい。
と、そこまで吹っ切れていないのがやはり自分の弱さだと、一応でも自覚している分幾分かマシか。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい、体調には気を付けなさいよ」

「はいはい」

母さんが治ったばかりの身体を心配する言葉におざなりに返事をする。
そして扉を開く。

「・・・おはようございます」

「おはよー時雨。元気戻った?」

「はい、もう体調はもとに戻りましたよ」

「そっか」

いざ、目の前に現れるとなんと心臓の悪いことか。
動揺を見せるな、なんて俺は誰と戦っているんだ、落ち着け。

すぐに変なことを考えてしまう頭を一度リセット。
何時言えばいい、とゆうか俺がしたいのは所謂告白とゆうものだけど、普通どうすればいいのだ。
一般的なものですら知らない、そんな自分を心の中で罵倒。
意気込んでいただけに悔しいものだ。

「今日さー部活行かないけどね、図書館で勉強する予定なのー。一緒帰ろ?」

「あ、はい。わかりました。勉強捗ってます?」

一時休戦、だから誰と戦っているのだ自分。
猶予が出来た。
授業中起きていたらネットで一般的な告白について調べてみよう。

今は好きな人のことよりも告白とゆうものに意識がいってしまい、先輩が話しかけてくるのに適当に返事してしまう。
若干不満そうな先輩を横目に、とりあえず想像だけでもしてみようか。

本当かは知らないが、噂では校舎裏や大きな木の下。
人目につかないところが好ましいとされているようで、だいたい漫画とかだと上記のような場所な気がする。

まあ場所は置いといて、告白の内容だ。
とりあえず好きって言えばいいのか。
それとも漫画の回想のように過去に会った出来事とか、惚れた経緯までべらべら喋れと言うのだろうか。
先輩は、そんな長話を聞いてくれるのか、不安なところである。

とゆうか告白自体恥ずかしいものだが、そうゆう惚れた経緯言うとか恥ずかしすぎる。
更に恥ずかしいことの追加とか、きっと俺の心も脳みそも羞恥や緊張でドロドロにとけてしまいそうで、正直敬遠したいものだ。
いや、これは漫画の出来事だから現実ではやるなよって反面教師的なものか?
そうだ、現実のものとして考えなければ。

「・・・っ、なんでしょうか?」

「やっとこっちみたぁー」

もう、本当いやだ。
心臓に悪い、そんなに近づかないで、顔が熱い。
俺の意識が先輩に向くと、逆に離れていくとか巷で有名な小悪魔か?
いや巷で有名って、もう落ち着け、落ち着けよ自分。

「時雨ー、先輩は寂しがり屋なんだぞ!構えー構えー」

「子供ですか」

「うん、まだ子供」

ちょっと馬鹿にしたように笑ってやろうと思ったけど、顔の熱がひかなくて、残念ながら気持ち悪い笑みになってしまう。
俺は、果たして告白なんて、想いを告げるなんて、出来るのだろうか。

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