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知恵熱だったからか、悩みが解決されれば気持ちと共に身体も軽くなったようで、次の日には平熱より少し高いものの、熱は下がった。
一応今日までは安静にしていようとのことで今日も学校を休んだ。

明日、明日こそは先輩に会える。
学年も部活も違う、だから毎日会えなくて当然なくせに、寂しくて。
無意識に探してしまったり、今思えば本当に恥ずかしいことばかりだ。
だけど、今はもう想いがはっきりしてるから。

大丈夫じゃないけど大丈夫。
この胸の高鳴りは、苦しいけれど嫌いじゃない。

そっと胸を押さえて、一応安静にとのことなので長めの休憩を挟みながらパソコンへ向かい、想いを綴る物語を作る。
物語にすると、この中の人物は例え架空のものだろうが、誰かを愛し、憎み、想い、悲しみ、そして笑い、泣いたりする一人の人間になるのだ。
だけど、今は俺の気持ちを丸写しにした主人公だから、もう一人の天宮時雨ということになる。

物語の中だから、相手を先輩に見立てた人にして、ハッピーエンドにしてしまいたい。
しかし、本として物質的に残るものにそうゆう俺の願望を纏めるなど、未来の自分から怒られてしまいそうだ。

先輩への気持ちを自覚し、受け入れたのはここ最近だがその萌芽はいつだったか。
物語を書きながらも自分の記憶をたどっていく。

なんやかんやで構ってくる先輩がいて、嫌がる素振りはしたものの言葉ほどには嫌いではなかった。
嫌いじゃないから、いつしかあの空気が好きになった。
そして先輩を好きになった。

いつも向こうから来てくれたのに、先輩の引退であっさりと俺と先輩を繋ぐ糸が一気にほつれてしまっている。
また再構築したいけど、再び出来上がる糸が、俺と先輩を愛というもので繋いでくれるものだったらいいのに、なんて女々しいか。

俺はずっと同じことをうじうじと悩んでいた。
好きって自覚したけれど、悩むことはまだある。
だってどんなに好きだって届かなければ意味がないなど言うつもりもないけれど、やはり誰だって己の想いが届くことを願うはず。
俺だって、男同士なんて不毛な恋心を抱いているけど、わかっているけど好きで、好きで、届いてほしいと思ってしまう。

浅ましいか、男同士で気持ちが悪いか。
だからなんだと吹っ切れるほど俺は強くないけれど、この想いがあるかぎり、先輩に向かって少しずつ近づいていきたいと思ってしまうんだ。

自縄自縛
(自分で縛ったんだ、簡単に解けるだろ)


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