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書店内はちょうどいい温度に暖房がつけてあって、冷えた体が温まっていく感じがいい。

フラフラ歩きながら彷徨っていると俺のペンネームである「宇月蒼」が派手に広告用紙に載っている。
新刊は今日から発売だったのに、もう残りが少ないところを見るとなかなかに売れているらしい。

「・・・・」

さて、用件も済んだし帰ろうか。
でも折角来たんだし、此処は温かいからすぐ出るのも嫌だなぁ、なんてのんびり考えている。


すると、ガラの悪い野郎が2人入って来た。
それを横目にしながらも関係ないしと他のピックアップされている本を見る。

あ。この人の新刊出てたんだ。

あのガラの悪い2人は迷わずエロ本売り場に行って「この子可愛い」「もうちょっとスカート短くしろよ」だなんて馬鹿なことを大声で叫んでる。

煩いけど、やっぱ無視。


そうこうしているうちに隣に人が来た。
一瞬隣に並んだようになると、結構な身長差になる。
12、3cmかなぁ、だなんてどうでもいいこと考えていると、そいつは俺の本を手に取った。

俺の作品を読んでいる人からファンレターが届くことはよくある。
だから、沢山の人が俺の作品を気に入ってくれてるってことは知ってるけどどんな人が読んでくれているかは知らない。
こんなに近くで買ってくれる人を初めて見た。


さて、買ってくれる人も見れたしいい加減帰るか。
来た時に通ったコンビニでお菓子でも買って帰ろうかなぁ。

俺の好きな作家の新作と集めている漫画の最新刊を買って外に出た。

外に

後ろから来た馬鹿2人組に押されて。
折角買った本が地面に落ち…る前に何とか抱え直す。


「おい、お前通行の邪魔」

「鈍くせぇ奴」

なんてギャーギャー五月蠅く嗤ってる。

周りからはお前らが嗤われてるよ。
不細工な煩い餓鬼がって。




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