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休むことにしたはいいがどうすればいいんだろう。
俺としては切実にこのまま安らかに逝きたい・・・ではなく昼辺りまでは寝ていたいのだが、流石に客?である先輩を放置するのは駄目だと思う。
「時雨はこのまま寝るんだろー?」
「いや、それは・・・」
「寝てもいいよー?俺も寝るし」
曰く、今日はいつもより早起きしすぎて俺も眠いんだよー、とのことである。
有り難いので早速先輩にはソファーで寝てもらうことにして、掛布団の用意をする。
今日は本当に疲れすぎたのでベッドは譲れないのだ。
「先輩、押し入れから掛布団出すんで手伝って貰っていいですか?」
「えー面倒くさーい!」
「先輩、流石に冷房付けて掛布団無しだと風邪ひきますよ?」
この時期、夏休みが終わったと言ってもこの暑さは急には変わってなどくれない。
冷房無しでは寝苦しいと思うけど、つけたままだと風邪もひくだろう。
つけないならつけないでもいいけど、それだと寝るまでが長い気もする。
途中で暑くて起きて、俺の睡眠の邪魔されるなど以ての外だし。
「時雨と一緒に寝るー」
「せ、まいですよ!」
「だからー俺抱き枕が無いと寝れないんだってー!」
「知りません!!」
「よしよーし、お姫様と同衾だー」
「うわっ!?何するんですか!?」
「お姫様と同衾だー」
「さっきも聞きました!!」
ちなみに今、その・・・いわゆるお姫様抱っこされてる状態だ。
身長差を考えれば確かに簡単に俺なんかを抱っこできるんだろうけど、やっぱり恥ずかしいしちょっと悔しいし先輩近すぎるしで混乱中。
同衾だなんだ言われても確実に寝れない自信があるし、むしろ今から目が異常なほど冴えているのだが本当にどうしてくれようか。
屋上で抱きしめられながら寝たこともあるし、屋上で寝てて起きたら先輩が隣で大の字になって寝てたことも度々あるので同じじゃないかと言われたらそれまでなのだが。
「時雨ー、ドア開けてー」
・・・って、何時の間にか階段を上がり俺の部屋の前までたどり着いている。
ここで開ければ確実に同衾フラグが立つというか既に立ってるけどさ・・・
「はーやーくー、流石に時雨も重いからなー」
「お、ろせばいいじゃないですか!」
「ほらほらはっやくー!」
先輩の声を聞くと本当に従ってしまいそうなので耳を塞ぐ。
それをこれ以上話聞くもんか的な挑発と受け取ったらしい先輩が何やら言ってるけど残念ながら結構な力を込めているので聞こえない。
「―――っせ、と」
「うわっ、ぁ!!」
「さーて、寝るかー」
ついに片手で俺の体を持ち上げると言う暴挙に出た先輩はそのまま起用にもドアを開けるとそのまま部屋の中に入っていく。
俺の抵抗なんて全くきかず、耳を塞いだことも何の障害にもならなかった。
急に手が離れたと思ったら一瞬の浮遊感、その後ポスッと体を受け止めたベッド。
そのことによってギシギシと軋むベッドは先輩まで乗り上げたことで更に音が煩くなる。
「よっし!お姫様捕獲成功!」
「姫は捕獲するもんじゃありませんよ・・・」
「いいのいいのー!・・・お休み、時雨」
「お休み、なさい」
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