18

「おーい、生きてるか天宮」

「・・・・・ぅう、」

微睡の中、邪魔された腹立たしさに寝返りをうつふりをしてそっぽ向く。
こんな公式の昼寝を邪魔されるとかたまったもんじゃない。

「はいはい起きろー」

「うー・・・わかりましたよ」

授業終了の鐘が鳴る。
その音にも起きろと急かされているようで。

布団を剥ぎ取られてしまえば残念ながら観念するしかないので起き上がる。
ベッドに座ったままでいると近くの椅子を持ってきて傍に座る。

「で、何を話せばいいんですか。斉川先生」

ようやく名前が出てきたけど斉川雅敏(さいかわ まさとし)先生。俺らの担任だ。
さっき授業してた・・・誰だっけ。まぁいいとにかくあの先生が事情聴取するとか言ってた。

「全部。不良に絡まれたーって言ってたけど」

「あー、はい。予鈴なって帰ろうとしたらいきなり首根っこ掴まれて」

完璧嘘。百パーセント嘘。
でもサボろうとあの教室いたら――とか言ったら怒られるから。
なんていうかこの時初めて作家やっててよかったとか思ったって言ったら担当に怒られる。

「なんか前に街で会った人たちで恨まれてたんですよ」

「逆恨みってやつか」

「そんなんです。で、正当防衛ってやつでボコしてきました」

「おー流石。で、気絶やらさせたわけだ」

「ちょっと過剰でしたかね」

警察行っちゃう?みたいな流れになったら困る。
やっぱりあの不良さん達にも親が居るんだろうし、いろいろ言われそう。

「十数人で襲い掛かってきたんだからむしろ生ぬるい方だろ」

「あ、そうですか」

ちょっと心配したけど杞憂に終わってよかったよかった。
話の途中で帰ってきた佐藤先生はにこやかに見守ってくれている。

「まーとにかくそういうことです」

「おー。じゃあもう帰っていいぞ。お大事にー」

「はい、ありがとうございます」

斉川先生が出ていくのを見守ってから話し始める佐藤先生。

「白木君、って子が凄い心配してたよ。仲良いんでしょ?」

「あー・・・まぁそんなんじゃないです」

「なかなか酷いこと言うね、君」

「そうですか?」

その後も二三言葉を交わしてから鞄を肩にかける。
ズキッと感じる痛みに思わず顔を歪ませると心配そうに鞄を持ってくれた。

「ごめんごめん、親御さんに連絡して迎えに来てもらおうか」

「父も母も仕事してるんで家に居ないと思います」

「あー・・・じゃあ僕が―――」

なんとなく、荷物持ちに先輩の顔が浮かんだ。
先生の話が途中で切れたのを不思議に思っているとそういえば扉の開く音がした。
扉の方を向いてみると思い浮かんだ人が現実に居るからびっくり仰天。

「先輩」

「俺がいきますよ」

「え・・・って、授業は後一時間あるけど?」

「自習なんですよー、だからいいでしょ?」

先生相手にこうも堂々とサボリ宣言するなんて流石だなぁ先輩と場違いにも考える。
流石の俺でも俺次サボるんで、じゃ、みたいなことは言えない。



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