16

その後銀髪を庇う様に立ちふさがる奴らを投げ飛ばしたりいろいろしていたらやっと残り四人となった。
赤髪は一時復活したのだがふらついた体で無茶しようとしていたので腹に一発食らわして昇天してもらった。


わざと踵を鳴らして近づいて行けばその音にすらビクッと反応する。
ならば最初から集団で襲うだなんて考えなければよかったのにと思う。

それでも諦めず向かってくる足を思いっきり踏みつけそのまま勢いよく腕を振り回せば目元に当たる。
悶える相手に容赦無く腕を掴んで投げ飛ばせば床に背中を打ちつけて呻いた後に意識を失った。

あ、これはやりすぎたかも知れない。
それでも進む足は止めずに残りの三人のもとへ向かえば一歩進めるたびに一歩退く。
なんだか面白いけれどもう飽きてきたからさっさと決着をつけたい。
というのも方便で実際は殴りっぱなしの拳が痛む。
それにやはり無傷と言うわけにもいかず先程腹に数発くらってしまった。

「・・・はぁ」

呼吸を整えるために息を吐けば震える相手。
だから怖いならさっさとどっか行け。

「何?さっきまでの勢いはどこ行ったの?」

ワザとらしく眉を寄せて睨みながら、嘲笑うように言えば図星なようで息をグッと飲み込む音がする。
それでも流石不良と言えばいいのかすぐに怒りの形相に代わって睨みつけてくる。
だからあんまり怖くないよだなんて言わない。

「調子に乗んなよ糞餓鬼!!」

「餓鬼って・・・そんなに年齢変らないけどー?」

先輩の真似してちょっと語尾を伸ばしてみた。
するとやっぱり怒ったらしくて頭に血が上って真っ赤になっている。
普段からこんな喋り方してる先輩とこの人たちが話すことになったらどうなることやら。

喋っている間にさり気無く拳を撫でていたら気分的に痛くなくなってきた。
こういうのって案外思い込みが大事だったりするんだよね。

「でー?餓鬼相手にこんなボロボロになってるのはどこの誰ぇ?おにーさん」

ニヤリと笑ってやれば近くの壁を殴る。
思った以上に音がデカくてびっくりした。
それに気をよくしたのか知らないけど向こうもニヤリと笑う。

「・・・ったく、手加減してやんねーよ?」

厭らしいその笑みに純粋な殺意を覚える。
後、三人。

大丈夫、まだいける。

「さっさとかかってきたら?弱いおにいさん」

ノリで言ってたおにいさんが予想以上に気に入った。
今度は弱いを強調しながらつけてやれば引き攣る頬。

「っは、糞餓鬼ぃ、死ね!!」

物騒な言葉と共に勢いよく走ってきた銀髪。
飛び蹴りとでも言う様に無駄に飛び上がって長い脚を此方に向けてくる。
それをさっと躱していつもの様に足を払って体勢を崩してやる。
案の定着地してすぐに足払いをされたのでふらりと数歩後ろへ崩れるように下がった。
その間に腹に一発、頬に一発。
それでも倒れずにこちらも肩に一発食らったのお返しに肩に。
するとずるずると肩を庇う様に倒れていく。

「・・・無様ですね」

「う・・・ぅ、っせぇ」

なんとか声を振り絞ったようだが小さくて聞きにくい。
後ろから残りの二人が来たが回し蹴りする。
綺麗に足に当たって二人とも間抜けに転びやがったので背中をそれぞれ踏んだ。
軽そうな、細いほうの腹を蹴って銀髪の上に乗せる。
衝撃に二人ともぐえ、とか馬鹿みたいな声をだす。

「それじゃ、失礼しますね」

もう一人、放置していた奴の頭を踏んで扉へ向かう。
後ろからは馬鹿みたいに暴言を吐いている男たちと既に意識が遠のいている男たちが取り残される。

そちらを一回も振り返ることすらせずに開いた扉を乱暴に閉めた。



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