15

双方、黙りこくる。
というか俺はあんまり話していなかったけれど。

そのおかげで落ち着いた。
それはいいとしてこの見詰め合っている状況を何とかしたい。
何とかしたいと、俺が視線を外せばいいだけかもしれないが視線を外せば絶対キレる。
とても面倒臭い事態に陥る気がするから駄目だ。

あー、どうしようかな。
てか今頭をいろんな意味で使ったから疲れてきた。
こんな時にやっと感じてくる眠気に嬉しい様なムカつくようなで複雑な心境だ。

そんなこんなで見詰め合い、2,3分程した。
文字にしてみれば少なすぎる時間だが意外と時は長いものだ。



「・・・まぁ、いい」

おや、自己完結。
人の話を聞けないのはいけないことだ。
というかどうしてこの流れで今までずっと話していた後のような言葉を吐く。
それだけコイツのスカスカの脳味噌をフルパワーで独り言に使っていたのだろうか。

「お前、つぶす」

つぶす・・・二人じゃだめだから皆連れてきたってわけか。
先程まで鬼ごっこやらトランプやら変なこと考えてたけど頭がすっきりした今じゃわかる。

面倒臭いことに喧嘩の時間のようだ。
飯を食ってからあまり時間がたっていないので派手な動きは控えたいものだが。

目の前の銀髪の声に合わせてゾロゾロと部屋に入ってくる男ども。
なんていうかむさ苦しくて透子さんと藤堂先輩に凄く合いたくなってきた。

ざっと人数を数えると予想通りのようなの12名。
10人ぐらいだと思ってたけどちょっとオーバーした。
武器使われなきゃ大怪我はしないだろうし、無傷でいられると思う程楽観的ではないけど。
それでもまぁ、片腕やるぐらいの勢いで行けば大丈夫だろう。

自分なりに目の前の相手共を解析してみたが強さが分からない。
この前は不意打ちを狙ったが今回は本当に喧嘩をしに、俺を潰しに来ている。
面倒臭いことこの上ないけれどこいつ等をどうにかしなきゃここから出られない。
大きな音を出せば下は教室だから先生が気付いてくれるだろうけれど大声出す気力がない。


のそり、と立ち上がる。
ちなみ今やっと横たわっていた体を起こしたところだ。
この俺の状態が相手を苛つかせる要因の一つでもあっただろうが黙らせれば問題ない。
それに全員倒さなくても残り数人になった時に此処から出てクラスに戻ればいい。
追いかけてきたらこの人たちに絡まれて遅れたんですと言えばいい。

「で?俺は全員を一度に相手しなきゃいけないんですか?」

「あ゛ぁ?そーだよっ!!」

「・・・一人じゃ歯が立たないからって」

溜息をつきながら呟くと地獄耳の野郎だったらしくピクリと蟀谷が動く。
てか堂々と一人じゃ勝てないって宣言するってなんていうか悲しくはならないのだろうか。
俺は損をするわけでは無いけれど、いや確かに一人ずつのが倒しやすいけど。

「まぁいい!!行くぞ!!」

またもや自己完結すると唸り声をあげて赤と銀が突っ込んでくる。
その後ろを続く男共もカラフルな汚らしい髪色でもう呆れるというかなんというか。


先陣を切ってきた銀髪の腕を掴み脇腹に蹴りをいれ赤髪の方に吹き飛ばす。
あんまり威力はないけれど驚かせるには十分だったので後ろに素早く回ると赤髪の首に手刀を落とす。
その隙に銀髪がまた拳を振り上げるのでその力をそのまま使い投げ飛ばす。

「ぐ、っぁ・・・テメェ!!」

「煩いですよ」

止めというかとりあえず顔面蹴りつけりゃ大人しくなるかと足を振り上げる。
しかしその隙に後ろに居た男の一人、青髪の奴が迫って来たので距離を取る。

蹴りが来るので避けて後ろに回ろうとする。
しかし、その動きを予想していたらしく頬を拳がかすめる。

「チッ・・・次は両目狙ってやるよ!!」

「ギャーギャー喚かないでください」

「っ・・テメッ・・・」

不自然に言葉が途切れる。
相手の両足の間に片足いれ、足を払って体制を崩した瞬間に腕を掴み本来ならば曲がらない方向に腕を曲げる。

「あ゛っ・・・ぐ、っやめ・・・あ゛あ゛ぁぁぁ!!!」

正当防衛もいきすぎると俺もいろいろ言われるからとりあえず手を離し腹に蹴りをいれる。

「腕が!い、ぁ・・・腕がぁっ!!」

この程度良いかと曲げた腕を軽く踏んでから止めをいれられなかった銀髪のもとへ向かう。
今まで青髪の相手ばかりしてたからちょっと回復してしまったかも。

銀髪のもとへ向かう為に一歩一歩ゆっくりと足を進めると警戒しているのか相手も構える。
くるならさっさと来いよと思うけれど想像以上にチキンなのかもしれない。
それならば最初から粋がるなよと言いたいがそんな余裕もさすがにない。

赤髪は気絶していて目を覚まさず、青髪も悶絶中。
まだ二人しか倒していない、あと十人もいるのだからさっさと片付けなくては。

ようやく決心がついたのか二人の男が向かってくる。
一度に二人はどうやって倒せばいいだろうか。
いままでいろんな武道はやってきたがそれは一人相手のものだから少々きつい。

一人の拳を避けるともう一人に後ろから腕を掴まれて、体格差があって俺の肘が胸元ぐらいにある。
ちょうどいいやと腕を曲げて後ろに動かすといい感じに当たったらしくて力が緩みむしろ俺がそいつの腕を掴む。
先程のやつがすでに反撃に来て背中を蹴られたが衝撃に耐えて今腕を掴んでいるやつの関節を曲げる。

「あ゛!!や、腕がっぁ・・・ぎぁぁぁ!!」

青い奴にもしたのに引っかかるとは。
腕を握られたときに気付けよと言いたかったが馬鹿のおかげで倒しやすかったのでいいか。


[前へ 目次 次へ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -