14
床の硬い感触は体の節々を痛めつけ眠気を跳ね除ける。
とりあえずブレザーを脱いで枕にしてみるけれど硬さは少ししか和らがない。
さっき、変な奴らが来てから10分しかたってない。
ってことは授業が始まってから15分程しかたっていないことも示すことで。
目を瞑ってもいつものような眠気などまったく来ない。
寝る気分じゃないのなら授業に出ればよかった。
ゴロゴロとしているだけじゃ暇すぎる。
あーあ、と呟いて天井を見たとき、再び扉が開く。
「・・・・・」
「・・・・・」
なんだこれ。
さっき出ていった二人を先頭に大柄な生徒がいっぱい。
あ、なんかムカついたぞ。
とりあえずそちらの方に寝転がったまま顔を向けて視線を投げかける。
しかし男たちは気持ちの悪い笑みを浮かべる。
先頭の二人の男は黙って、少し怯えと狂気とも呼べる気持ちの悪い喜びを感じているようだった。
「・・・・・・」
どうすればいいんだろう。
相手が行動をとらない限りこっちも何かする気はない。てか気力がない。
向こうは俺が怯えるのを待っているのだろうがどうともない。
てか一体こいつらは何がしたいんだろう。
こちらから見ただけで5,6人程居るけれどせいぜい10人ぐらいだろう。
人集めるの大変だったんだろうな。
だから出て行ったあとからだいたい10分もたってたんだ。
10人集めて何するんだろう?
鬼ごっこならそんな5人ぐらいでできるしトランプは・・・持ってないね。
余計なことばかり考えてボーっとしているととうとう痺れをきらしたのか銀色の方が騒ぐ。
「おい、テメェ!!この前のかりはきっちり返すぜ?」
そんなドヤ顔してもあんまりかっこよくないです。
てか俺、この人たちに何かしたっけ?
かりを返すって・・・以外にもいい人なのかもしれない。
もしかしたらこの前はすいませんでした、イケメンじゃないのに調子のって・・・みたいな?
いや、でもそれなら俺じゃなくて本物のイケメンの先輩とかに謝ればいいのに。
「えーと、ありがとございマス?」
「あ゛ぁ?っ、テメェふざけんじゃねぇーぞ」
「おー、凄い巻き舌」
テメェのとこが凄かった。
てかあに濁点つけたようなあれってどう発音するんだろう、すげぇ。
俺昔から巻き舌に憧れてたんだよなぁ。
名前も忘れたクラスに一人はいたようなガキ大将くん、アイツの巻き舌はすごかった。
うるせぇ奴だとか思っていたけれど初めて巻き舌聞いた時にコイツについて行こうとかちょっと思ってしまった。
まぁ、意外とひ弱かったからポキッといっちゃったけど。
「さっきからおちょくってさー、何のつもりだ?痛い目みてぇーの?エム?」
え、それお前じゃないの。
突然会話に入った赤髪くんに内心で突っ込み。
さっきまで俺は何一人で巻き舌について語っていたんだろう、ちょっと恥ずかしい(棒読み)
「エムなのは貴方の方じゃないですか?一度ボコられたのにもう一回って・・・あ、あの時目覚めちゃったとか!?」
自分で言ってて気づいてしまった。
もしかして、あの時首筋に手刀を落としてしまった時から彼の人生は180度回転。ああ哀れ。
というか今の俺のテンションちょっとおかしい。
先輩不足だ、ってなに考えてるんだ俺。
「んなわけねぇだろっ!!ふざけんじゃねぇぞカス!!屑が調子のんな!!」
カスって・・・先輩だから一応敬語使うぐらいの常識はあるのだが。
眠れなかったことで何だか思考がおかしくなってきた。
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