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今現在
先輩とお昼寝中。


「先輩」

「なーにー?」

眠そうな、普段より少し高めの声。
まぁ普段がけっこう低いからあんまり変わらない気もするけれど。

「この姿勢はやめましょう」

「何で?」

何でと文句を言われましたがみなさん聞いて。
どこにみなさんがいるか知らないけれど、現実逃避な気分だから。
説明は一言で終わるから聞いてね。

今、先輩に腕枕されてます。

Do you understand?

はい、理解してくれましたね。
腕枕の意味がわからない人はさすがにいないでしょう。
腕が枕なんですよ。
ここでは先輩の腕が俺の枕になってるんです。

「これ、普通の人が見たらあんまり気持ちの良い光景ではありませんよ」

「二人しかいないのに?」

「入ってくるかもしれないじゃないですか」

「大丈夫だって」

「なんの保証があるんですか?」

そう言うと黙って薄気味悪い笑み。
何か色々裏から手を回してそうな悪人の笑みたいだ。

「いろいろと・・・ね」

そう言うと瞳を閉じた。
そして腕枕してない方の腕で体を抱き寄せられた。

「ちょ、先輩?」

困惑したように呼びかけるととじた瞳がまた開く。

「俺、抱きまくらないと寝れないんだ」



この日ほど先輩に殺意が湧いたのはなかったと思う(後日談)



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