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「先輩は超能力者ですか?それとも俺のストーカー?」
後者だったら殴って逃げよう。
「すっごい極端な二択だな」
よかった、どっちでもないらしい。
するとどうして此処に来たのだろう?
サボリに来たのか?
まったく3年生のくせにダメな人だ
サボリの対象に自分を例外としていれずに数えているが思いっきりさぼりだ。
まぁそんなことは気にせずに屋上へ行けぬのならばここに居る意味はない。
「さようなら」
「えー?ここ来たってことは屋上行くんじゃないの?」
「空いてませんよ?」
「鍵あるけど」
・・・・・・・・・・・・どういうことだ?
鍵がかかっている屋上。
その鍵を持って今現在目の前にいる先輩。
そしてその屋上に行きたい俺。
「鍵ください」
「んー?どうしよっかなー」
多少イラっとしたけれど気にしない。
この輩には気にしたら負けだ、そういう運命なのだ。
「とりあえず屋上開けてくださいよ。そこで話しましょう」
鍵は今度でいいから今は昼寝の気分だ。
「おー」
だるそうな返事と共に聞こえる開錠の音。
扉を押すとギィっと、古びたサビの音。
「ここ普段俺しか使ってないから随分と汚いんだよな」
汚いのは見ればわかるけれど、その鍵一体何処で手に入れたのだろうか?
「その鍵は?」
「んー?」
扉に片手を当てたまま屋上へ一歩踏み出している状態で首だけこちらを向けている。
もう片方の手は人差し指以外折りたたまれて、その人差し指はソっと唇に押し当てられた。
弧を描いている唇に程よく色の付いた指先。
嫌なぐらい決まってるその姿に
「さっさと行ってくれませんか?」
全力でスルーしたのは言うまでもない。
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