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先輩に家まで送ってもらった俺は、そのまま何事もなく済ませたかったのだが母親が家にいるために避けられなかった。
女性といういう生物はやはり、イケメンがいたらそれに惹かれていくのだろう。
それは男でも美しい女性に惹かれるのは同じことなので別にいい、自然現象すぎてもう何も言うことない。
だからと言ってあそこまで引き止めなくてもいいと思う。
そりゃ、俺が部活入ったとか仲良さそうな先輩が高校生活一日目で出来たとかいろいろあったけれども。
とりあえず、仲のいい先輩ってのは必死に訂正しておいたさ。
これまた失礼な母親に大丈夫?熱はないの?とくり返し聞かれたのはもう忘れておこう。
ほら、よくあるあれですよ。気にしたら負けってやつです。
そして翌日。
足はまだ痛いけれども酷く腫れることもなかった。
とりあえず良かったと胸を撫で下ろし、ズボンとの格闘も終えて階段を下りる。
段差という名の面倒なラスボス?を倒して朝食を取った。
「それじゃぁ、行ってくる」
「はーい。今日は怪我してこないでよ」
「わかってる」
玄関へ足を引き摺るようにして足をすすめる。
元々足を引きずりながら歩いてはいるが、それは気力がないことの現れだなんだと言われた。だからなんだ。
靴を履いて、さぁ、学校へ行こう。
あらまぁびっくり先輩だこと。
「先輩、どうしたんですか?」
「んー?昨日送ったとき、意外と家近いってわかったからついでにお姫様のお迎え」
「・・・お姫様をついで扱いしちゃいけませんよ」
もう、お姫様に対するツッコミも疲れた。
「まぁ、とにかく行こうよ」
「そうですね」
バカの相手してると・・・あー、先輩とのお話にあまり夢中になっていると学校に遅れてしまうからね。
*
学校へは、先輩はやはり目立つらしくてその隣にいる俺は当然あいつ誰?的な視線にあった。
どうでもいいし、危害を加える目線ではなく好奇心な視線だったので無視しておいた。
そして、最終的に下駄箱へ辿り着く前に先輩は女子に囲まれてしまったので俺ははじき出される。
先輩は抜けようとしてくれたらしいが1年と3年では下駄箱の場所が違うのでどうせ分かれると無視して進んだ。
そうして靴を苦労しながらも履き替えていると白木が。
すーぱーさい○人登場だー。
とでも言いたくなるようなある意味感動する寝癖をつけてきた。
思わず鼻で笑ったけれども気にしなくていいよ、白木くん。
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