18
「却下」
「・・・・・・」
こんな面倒臭がり屋、いくら実力が多少あったって部内の空気を乱すからと諦めてくれ。
俺が自分から体を動かすのは執筆活動のための参考書集めとかだけなんだよ。
そりゃ、筋肉は一応まだついているけど武道をやってた時のほうがもっとついてた。
「俺なんかのどこがいいんですか?」
「只の勘だ。お前は俺に必要だと」
またまた溜息をついて痛む足をかばうように床に座る。
「その勘があたる可能性は?」
俺の問いに、彼は今までで一番強気な笑顔を見せたかと思うと、自信満々に答える。
「100%しかありえないだろ?」
「じゃあ、賭けをしましょう」
仕方ないから妥協する。
「部活に入ります。でも、勘が当たらないと思われる場合には俺はすぐにやめます。その代り、先輩に俺が必要だということが当たれば、先輩の卒業後も続けます」
「俺の卒業後も、ってことは期限は俺の引退までか?」
「そういうことですね。えぇと…引退は8月の初め等辺ですよね」
「あー、俺もう推薦で決まってるから引退は来年の3月まで」
「・・・・・・やっぱ止めた」
何なんだし。
約4か月ならば、絶対に証明出来ないと思うけれど流石に1年ならばどうなるか予測不能だ。
「駄目ー、男に二言はないって言うじゃん」
「・・・・・」
「俺は、お前が欲しいんだよ」
一瞬、ほんの少しだけれど高鳴る心臓。
コイツ…タラシか?
素面でこんなこと言える奴いるんだ…
「ってわけでさぁお姫様、あちらへどうぞ」
どう見たって姫じゃねぇだろと反論しようと思ったら所謂お姫様抱っこされた。
そりゃさ、10p以上身長差あるから簡単に持ち上げられるのは仕方ないとは思う。
思うけれども、お姫様抱っこから片手で持とうとするのは止めてくれ。
「ちょ、落ちるって!!」
「だーいじょうぶ」
後ろ側に星のつきそうな返事をされても心配でしかない。
ぎゃーぎゃー騒ぎながら数十メートルを先輩に連れて行ってもらった。
「あら、仲よしさん」
「そうだろー」
「んなわけないですよ」
入部届の記入場所では必要な書類をマネージャーが配り、その場で書けるものは各々で書き、もう提出するそうだ。
というわけで俺も連れてこられた(ここ重要)ので椅子に座り記入を始める。
「さっき凄かったわね。あ、私は藤堂栞里(とうどうしおり)って言うの。2年生よ。これから宜しくね。」
「俺は天宮時雨です」
自己紹介を俺もして書き終ったら藤堂先輩に渡す。
先輩はいつのまにか隣にはいなくて、先輩に荷物とか持たせて帰ろうと思っていた俺は少し落胆。
教科書たくさんもらったから重いんだよ。
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