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同じゼッケンを身に着けている奴らはやっぱりデカい。
そりゃ、俺は生贄として連れてこられたから体格なんて関係ないけどさ。
他の先輩方はガタイの良い奴等を選んできたようだ。



「「「お願いしますっ!!」」」

両チームとも頭を下げて、ジャンプボールを始めるらしく一番背の高い奴が中央に2人残る。
いやーデカいね。
見上げるときに首がグキッて言っちゃいそうだよ。
・・・・先輩のがデカいけど。
うん、実際にさっき靴置き場で話して体育館に来た時に首が変な音した…


バシッと、両チームの選手が飛び上がり、ボールを叩く。
向こう側のチームの奴のが背がデカかったらしく捕られてしまった。
本当は、このまま「あ、はいっちゃったよ。残念」って感じで傍観していたいのだけれども、そう、だけれども。
先輩の視線が痛い。
さっき話した俺の事笑った先輩も。

まぁ、五十嵐先輩の笑みは確実に「真剣にやんなきゃシバくぞ」って感じの笑みだ。
もうやだ、あの人怖い。

ってわけでやりますか。
ちょうどボールもこっちに来たし。


明らかにやる気のなさそうな奴のほうなら抜けられると思っているのが甘い。
余裕そうに、軽やかにドリブルする奴のボールを、相手の手から離れた瞬間にさっととる。

奴は、驚き、信じられなさそうに眼を開く。
いつもパソコンでタイピングしてるから腕の力はけっこうあるんだ、馬鹿野郎。
それに、俺は力よりスピードタイプだから手の動きは早いんだ、ざまぁみろ。

続けざまに心の中で馬鹿にする言葉を吐き、更に奴に驚きやら、苛立ちやらの顔を見たくて3ポイントの狙えるところを探す。

身長170p以上の奴は、皆殺しだ…!!

そんな馬鹿なことを心の中で呟く。
慌てたように俺のシュートを邪魔しようとする奴の腕を潜り抜ける。
チビだって、チビだって役に立つんだ。

先輩にさんざんチビって言われた。
そん時にチビのほうがいい時もあるんですよと言ったら教えてくれよと言っていた。

結論
いいじゃねぇか、教えてやるよ。


凄いスピードで走っていたのを急停止。
中学の時に習ったフォームを作り、ボールを飛ばす。

それは、綺麗な弧を描きながら、ネットに触れることもなくまっすぐに入っていった。


ざまぁみろ。
再度心の中で呟いた。



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