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「あの、部長って…誰ですか?」

「誰って…五十嵐義之。さっき君と話してた奴だよ?」

嘘だ。
あんなサボリ魔が部長なら、この部活は既に崩壊してるはずだ。
ていうか、あんな軽い奴が纏められるとは到底思えない。

「えぇー…余計に入る気なくなった…」

おっと、つい本音が。
さっきは何か怖かったから強引にこられたらそれこそ面倒臭いことになるだろうから入るかも、だなんて思ってた。
でも、先輩が部長なら話は別だ。
絶対部長命令だ何やらで変なことしてきそうだ。
っていうか、アイツの考えてること全く読めないからなぁ…本当に予測不能な生物で困る。

「っ!!」

口を抑えて、必死で声を殺して笑っている…爆笑している目の前のこいつは、なかなかにムカつくやろ…先輩だ。
まったく…バスケ部には変人しかいないのだろうか。


その後も何か話しているとマネージャーの人が呼んでる。
そちらに行くと、今から実力を見たいとぶちょー様が言っているので動きやすい服に着替えてと言われた。
無いと言ったらマネージャーの人が動きやすそうなTシャツと本校の体操服のズボンを借してくれた。
まぁ、最初からの入部志望者以外運動服なんて持ってきてないから皆借りているようだ。

そうこうしているうちに、先輩が来た。
あ、Tシャツに着替えている。
試合じゃないからユニフォームじゃないけれど、制服で隠れていた腕の筋肉とかが凄い。

・・・・・どうでもいいけれど、何かマネージャー候補として居る女子が先輩の事見て騒いでる。
それと、まるで神様でも見るように新入生は先輩の事見てる。
この人は尊敬するような人じゃないよと叫んでやりたいところだ。


「よーし、とりあえず新入生は2チームに…ちょうど10人いるから5人ずつに別れろ」

怠そうな、でも元の顔のつくりの為か優しい笑みを浮かばせているような何とも言えない、締まっていない顔だ。
これがいわゆる優男の顔なんだろうか?


とりあえず、一列に並んでいたので半分で切ってチームは決まった。
これから運動するなんて…お腹すいたのに。
プリンが食べたい…

真面目にバスケをしようとしている人に失礼な、どうでもいいことを考える。

「じゃぁやるから、同じチームの奴覚えてろよ。…あ、ゼッケン着ればいいか」

というわけで、赤色のゼッケンを身に着ける。


早く終わらせて帰ろう。
そう心に決めてコートに入った。



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